2015 Fiscal Year Research-status Report
難治性口腔粘膜疾患の病態解明と新規制御法を目指した基礎的研究
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26870170
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
津島 文彦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90456210)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔白板症 / 癌化 / 臨床的因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔白板症の癌化に関与する臨床的因子について検討した.対象は2001年から2010年までに東京医科歯科大学歯学部附属病院顎口腔外科を受診し, 臨床的および病理組織学的に口腔白板症と診断された512症例554病変とした.性別は男性278例,女性234例,年齢は11歳から84歳(中央値:61歳)であった.平均観察期間は36か月であった.発生部位は舌176病変,歯肉219病変,頬粘膜76病変,硬口蓋50病変,軟口蓋21病変,口唇7病変,口底5病変であった.512症例のうち13例が,観察期間中に癌化した.癌化までの期間は9か月から7年7か月,平均3年3か月であった.癌化部位は舌縁が10病変で,歯肉,頬粘膜,軟口蓋にそれぞれ1病変であった.臨床視診型が非均一型であったのは,13病変のうち9病変であった.上皮性異形成の程度はなし2病変,軽度5病変,中等度6病変であった.単変量解析において,発生部位,臨床視診型および治療法が癌化との間に有意な相関関係を認めた.多変量解析においても,これら3因子は,統計学的有意差を認め,すなわち発生部位が舌縁,臨床視診型が非均一型で経過観察のみを行った症例において,有意に癌化する危険が高くなることが判明した.なお累積癌化率は5年で5.6%,10年で8.7%であった. 次にこの中で外科的切除を行わず経過観察のみを行った237病変についてさらに検討した.経過観察中に135病変(57.0%)は病態に変化は認めず,30病変(12.7%)は大きさが縮小し,44病変(18.6%)は消失した.しかし,17(7.2%)病変は大きさが増大し,11(4.6%)病変は経過観察中に癌化した.病変が縮小および消失した症例の要因として,禁煙(21.6%)が最も高く,次いで咬合調整等による機械的刺激の除去(12.2%)が高かった.癌化した病変においては,発生部位が舌,臨床視診型が非均一型,上皮性異形成が中等度以上が有意に癌化率が高かった. 今後は、白板症症例においても免疫学的検討を行いたいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
粘膜疾患は、病態が変化しやすく対象症例の組織採取の時期を決定するのが難しい。また、免疫組織学検討を行うにあたり、免疫染色に用いる抗体の至適濃度の決定が難しく調整中である。よって、研究課題の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
対象症例を決定し、免疫染色における抗体の至適濃度を決定し、免疫組織学的検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
免疫組織学的検討が計画通りに進んでいないため、免疫組織学的検討に必要な物品を購入しなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象症例の新鮮凍結切片と脱パラフィン切片における染色反応性の相同について検討し、PD-1,B7-H1発現の陽性および陰性の判定基準を設定する。 口腔扁平苔癬や口腔白板症について、臨床視診型とB7-H1 の発現量と発現細胞、 PD-1 陽性T 細胞の浸潤度について解析し統計学的に検討を行う。
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Research Products
(8 results)