2014 Fiscal Year Research-status Report
末梢血細胞のインスリンシグナルに注目した新規動脈硬化マーカーの探索
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26870171
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土屋 恭一郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (60451936)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / インスリン抵抗性 / 2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、培養血管内皮細胞(EC)を用いたFoxO過剰発現・発現抑制系における候補遺伝子の発現について検討を進めている。 FoxO1の恒常活性型変異体(ADA-FoxO1)アデノウィルスをマウス血管内皮細胞株(MS-1細胞)に過剰発現させ、DNAマイクロアレイ解析を施行した。ADA-FoxO1(100MOI)によりFoxO1 mRNAは約30倍に上昇を確認した。 DNAマイクロアレイ解析により、表1に挙げる遺伝子の発現がADA-FoxO1により2倍以上に増加していた。このうち、Lcn2(lipocalin-2/NGAL)は定量的RT-PCR及びELISA法において遺伝子発現及び蛋白分泌の増加が確認された。 lipocalin-2はグラム陰性菌に対する鉄イオン封鎖効果による強力な静菌作用を持つ物質として同定された(Nature 2004;432:917-921)。EC機能との関連においては、ラットへのlipocalin-2投与により血管組織のeNOS機能不全(eNOSアンカップリング)、酸化ストレス産生の増加を伴い、血管機能障害が惹起されることが報告されている(Br J Pharmacol 2012;165:520-31)。しかし、EC由来のLipocalin-2の意義、及びインスリン抵抗性・FoxOによる発現調節機構は明らかになっていない。今後、インスリンシグナル及びFoxOによる発現調節機構と血管生物学的意義を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状で血管内皮細胞特異的FoxO(EC-FoxO)欠損マウスが未完成であり、引き続き交配を続けて同マウスより初代培養血管内皮細胞を得る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
EC-FoxO欠損マウスの完成後、以下を推進する。 ①動脈硬化マーカーとしての血管内皮先駆細胞(EPC)/単球のインスリンシグナル/FoxO活性の臨床的有用性に関する検討。1) 2型糖尿病患者からのEPC/単球の採取。2) EPC/単球のInsシグナル/FoxO活性の定量的評価。3) 動脈硬化検査及び代謝パラメータと、インスリンシグナル/FoxO活性との相関解析。 ②FoxO-KOマウスを用いたFoxO調節性分泌蛋白の同定と動脈硬化マーカーとしての有用性に関する検討。1) FoxO-KOマウス血清の網羅的蛋白発現解析によるFoxO調節性分泌蛋白の候補抽出。2) 同蛋白のマウス血中濃度測定による動物レベルでの有用性の確認。3) 同蛋白の2型糖尿病患者の血中濃度測定と動脈硬化検査及び代謝パラメータとの相関解析
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