2014 Fiscal Year Research-status Report
無機ナノチューブによる刺激応答性材料の設計を目指した分子技術の創出
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26870179
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
敷中 一洋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00507189)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノチューブ / ゲル / 刺激応答性複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は無機ナノチューブイモゴライト(IG)と有機高分子を複合し、化学構造に応じた望みの力学強度 / 刺激応答性を併せ持つ高強度ハイドロゲル (IG gel) を合成した。 これまでの研究でIGと重合性有機酸アクリルアミド (AAm) を水中で混合した後AAmを重合させ可逆的な無秩序 / 秩序構造転移を起こすIG gelを合成した。本ゲルでは高分子鎖 (PolyAAm)が有機酸官能基を通じIGと相互作用しているため、IGと組み合わせる有機酸の官能基を適切に選択すればIGと有機酸の相互作用に応じた望みの力学強度や刺激応答性を持つゲルが合成できると期待される。 本系ではアクリル酸 (AA) / ヒドロキシエチルアクリレート (HEA) / ビニルホスホン酸 (VPA) / 2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸 (AMPS) をIG存在下で重合し高強度ゲルの合成を試みた。結果AA, HEAとIGの組み合わせにおいて高強度IG gelが得られた。更にAA / HEAの共重合によりAA / HEA組成比に応じた力学強度を示すIG gelを合成した。加えて「IGを特に強く相互作用するカルボン酸を持つAA」と「IGと相互作用を示さないが熱に応答し体積相転移を示す高分子鎖を形成するN-イソプロピルアクリルアミド (NIPA)」をIG存在下で共重合し、IG-AA間相互作用による高い力学強度を持ちながらもNIPAによる熱応答性体積相転移を示す多元刺激応答性IG gelを得た。 上記に加えてIGと二官能性有機酸(DA)から成るチクソトロピー性ゲルについてクライオ電子顕微鏡法ないし時分割X線散乱法により構造評価をおこなった。結果ゲル内部ではDAが表面に付着したIGの集合体(クラスター)がネットワークを形成しており、クラスター⇔ネットワークの衝撃/整置による構造転移がチクソトロピー性に寄与することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた「イモゴライトと有機高分子による高強度ゲルの物性制御」に加え、平成27年に実施を予定していた「イモゴライトと二官能性有機酸によるチクソトロピー性ゲルの物性制御」の一部であるチクソトロピー性ゲルの構造評価についても着手できたことも受け、研究は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度において、次年度以降に必要となる構造評価技術であるクライオ電子顕微鏡法ないし時分割X線散乱法に関する実験セットアップが定まったため、本知見を元として研究を推進していく。チクソトロピー性イモゴライトゲルの物性制御に当たっての粘弾性評価は本年度購入した粘度計を始めとした機材を用いて遂行していく。
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Research Products
(12 results)