2015 Fiscal Year Research-status Report
無機ナノチューブによる刺激応答性材料の設計を目指した分子技術の創出
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26870179
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
敷中 一洋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00507189)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノチューブ / ゲル / 刺激応答性素材 / 異方性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に二官能性有機酸によるチクソトロピー性イモゴライトゲルの物性制御について研究した。 申請者はこれまでにイモゴライト (IG) と二官能性有機酸 (DA) を水中で混合し、IGによるネットワークから成る高速なチクソトロピー能を示すゲルを得た。本年度はIGと各種DAから成るチクソトロピー性ゲルの力学物性や構造を系統的に評価した。 結果としてIGとDAから成る網目構造形成速度がチクソトロピー能をに関わることが明らかとなった。反応速度係数の評価より、DA分子構造の違いによる水素結合形成能に従い網目構造形成速度が決まることが示唆された。 ゲルの構造をX線散乱+電子顕微鏡法より評価したところ、ゲルはDAに覆われたIGから成り固-液相転移においてはIGの交差状クラスターによる網目構造の崩壊-再構築がおこっていることを明らかにした。これが高速な可逆的固-液転移を引き起こしていると示唆された。 加えて次年度実施予定であった流動によるチクソトロピー性ゲルへの配向構造付与もおこなった。衝撃を加え液化したゲルに対し流動を与えた後静値することでセンチメートルスケールでIGが一軸配向したゲルが得られた。また「DAへの不斉炭素導入によりチクソトロピー性ゲル全体にキラル秩序を導入できる」「溶媒をイオン液体としてもチクソトロピー性ゲルが得られる」という予備的結果も発見された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた「二官能性有機酸によるチクソトロピー性イモゴライトゲルの物性制御」が達成でき、チクソトロピー性をゲルに与える構造を発現する反応速度論的メカニズムを明らかにできた。加えて次年度の実施を予定していた「二官能性有機酸によるチクソトロピー性イモゴライトゲルへの配向構造付与」についても着手ができ、更にその過程で二官能性有機酸への不斉導入によるチクソトロピー性ゲルキラリティー発現とイオン液体を溶媒としたチクソトロピー性イモゴライトゲル形成についても発見できたことを受け、計画以上に研究が進展しており、当初予期していなかった斬新な研究成果が得られていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度で作成した配向構造含有チクソトロピー性イモゴライトゲルに対し相互侵入網目構造を導入し、異方物理特性を持つ高強度ゲルを創製する。本ゲルについて力学強度・光学特性・電気化学特性を前年度購入した粘度計などを用いて評価する。加えて二官能性有機酸への不斉炭素導入によりキラリティーを発現したチクソトロピー性イモゴライトゲルについて流動配向による超分子キラル秩序発現を狙う。更に溶媒を水からイオン液体に置換したチクソトロピー性イモゴライトゲルについてイオン伝導能を評価し、擬固体性状電解質としての応用可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度で当初の推測を超えた実験進行および招待講演に纏わる渡航による物品費・旅費の支出があったため、前期・後期で前倒し申請をおこなった。しかし本年度におこなえると考えた実験の一部 (ゲルのイオン伝導度測定等) が日程の都合上実施できなかった。それにより関連する実験器具 (物品費) の支出がなされなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由で記載した通りこの次年度使用額は当該年度におこなおうと考えた実験に関わる器具購入で支出する内容であるため、予定通り当該器具購入に充てる。
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Remarks |
上記webページにある通り、本課題に関連する研究業績に対し「平成26年度 繊維学会奨励賞 (繊維学会より)」「平成26年度高分子研究奨励賞 (高分子学会より)」をそれぞれ授与された。
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Research Products
(19 results)