2014 Fiscal Year Research-status Report
制御軸数の少ないベアリングレスモータの受動安定方向の振動低減に関する研究
Project/Area Number |
26870189
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉元 紘也 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (60613552)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ベアリングレスモータ / 磁気軸受 / 2軸制御 / 1軸制御 / シングルドライブ / 受動安定 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベアリングレスモータの産業応用化に対する最も大きな課題は,低コスト化であり,磁気支持の制御軸数の少ないベアリングレスモータが注目されつつある。本研究では,半径方向x,yまたは軸方向zのみの回転子位置を能動的に制御し,その他の自由度を永久磁石の吸引力あるいは反発力のみで受動安定させる制御軸数の少ないベアリングレスモータの研究開発を行った。制御軸数を少なくすると,制御システムが簡単で低コストである反面,受動安定方向の回転子の振動や危険速度での共振が問題となる。初年度は,2軸あるいは1軸のみを能動的に制御するベアリングレスモータについて,受動安定方向の振動を低減する新しいモータ構造や制御手法を検討した。 2軸制御ベアリンスレスモータについて,軸方向の振動の原因を明らかにし,モータのd軸電流を用いて軸方向の振動を抑制する新しい制御手法を提案した。また,追加のセンサ無しで回転子の軸方向変位を推定する新しい手法を提案し,有効性を実験的に確認した。 1軸制御ベアリングレスモータについて,零相電流を用いて半径方向の振動を抑制する新しい制御手法を提案した。また,構造が簡単な1軸制御ベアリングレスモータを提案し,3次元有限要素法磁界解析によって,有効性を明らかにした。さらに,提案方法の実機検証のための試作機を設計し,モータ部品を試作した。次年度は,試作機の組立,実験を行い,提案方法の有効性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究実施計画は,1軸制御および2軸制御ベアリングレスモータについて,受動安定方向の振動を抑制する方法の提案と試作機の設計,製作,基礎実験を行うことであった。 2軸制御ベアリングレスモータに関して,回転子の軸方向の振動メカニズムを解明し,新しい振動抑制方法を提案した。オープンループ速度制御の場合,d軸電流の脈動が生じ,脈動の周波数が回転子の軸方向の固有周波数と一致した時,回転子は軸方向に振動し,タッチダウンする恐れがあることを明らかにした。また,回転子が軸方向に変位した時に電動機巻線の鎖交磁束が変化することを利用し,回転子の軸方向変位を推定するセンサレスシステムを構築した。さらに,d軸電流により回転子の軸方向の振動を抑制する新しい制御法を提案し,実験的に有効性を確認した。 1軸制御ベアリングレスモータに関して,零相電流を用いて半径方向の振動を抑制する新しい制御手法を提案し,原理を3次元有限要素法磁界解析によって確認した。また,半径方向の剛性を高く保ちながら,構造がシンプルな試作機を設計し,試作が完了している状況である。 したがって,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に製作した試作機を用いて,実験的検証を行う。2軸制御ベアリングレスモータに関しては,回転子に冷却ファンのブレードを取り付け,実験を行う。外乱により回転子が振動した時に,提案方法による振動抑制の効果を検証する。1軸制御ベアリングレスモータに関しては,初年度に製作した試作機を用いて実験を行う。静止浮上試験,磁気支持力測定,剛性測定,回転試験などベアリングレスモータの基礎実験を行い,提案コンセプトの原理検証を行う。研究成果は,国内の研究会や国際会議にて発表する。また,国際ジャーナル論文誌に論文を投稿する予定である。 さらに,ベアリングレスモータの知見が高い東京工業大学の千葉明教授,東京工業大学名誉教授の深尾正氏,カナダのメモリアル大学Research ProfessorのRahman教授,静岡大学の朝間淳一准教授から研究の方向,論文執筆について,アドバイスを頂く予定である。研究を遂行する上での問題点はなく,当初の計画通り順調に進むと考えられる。
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Research Products
(5 results)