2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870195
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 智之 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (80582973)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 縮合反応 / スクアリン酸 / 精密重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
オキソカーボン酸の一種であるスクアリン酸 (四角酸) から誘導されるスクアライン色素は電子豊富な芳香族あるいは複素環化合物である。スクアリン酸は過剰量のアルコール存在下で容易に脱水縮合してエステル化合物を与え、このエステルに一級および二級のアミンと容易に置換反応が起きてアミド化合物を与える。本研究ではこの反応性を置換基効果により制御することで、スクアリン酸アミドが主鎖となる高分子の合成および重合の制御を目的とした。本年度は計画書通りに開始剤およびモノマーの合成を行った後、重合の素反応である開始反応と成長反応を検討した。開始剤およびモノマーの合成は定量的に進行し、目的物を得た。重合検討では、まずモノマーと開始剤の反応を塩基性条件下、反応温度や開始剤とモノマーの仕込み比を変えて反応を行った。いずれの温度においても塩基性条件下の溶液中にモノマー加えると系中はアニオンの生成に由来する赤色を呈したことから、塩基性条件下でモノマーの脱プロトン化が進行したことが明らかとなり、反応追跡の結果から開始剤が消費されていることを確認した。しかしながら、生成物の分子量は仕込み比の増加に伴って増加しておらず。反応の停止および副反応が進行している事が示唆された。そこで、塩基性条件下でのモノマーの反応性について現在調べている。今後はモノマーの反応性なども考慮した分子設計を行うとともに反応条件の最適化を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度7月より所属機関の変更があったが、本研究で必要なモノマーや開始剤の合成手法が確立でき、詳細な検討が十分に行える環境も整った。また、本年度では本計画書の予定通り重合のモデル反応を中心に検討を行い、反応条件やモノマーの反応性等の知見を得ることが出来た。 しかしながら、最適な重合条件を見出すまでには至っていない。反応条件に合致したモノマー構造の最適化なども含めて検討を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見を基に、基本的には設計、合成、評価の繰り返しになるが、評価するポイントを重合機構の解明と生成ポリマーの特性の2点に絞って検討を行う予定である。具体的には脱離能を種々変えたモノマーを用いた重合検討、塩基を用いた重合検討以外にルイス酸触媒を用いた条件での重合検討などを行い、詳細な重合機構の解明も合わせて検討していく予定である。また、現時点で得られているオリゴマーの性質も調べる予定である。得られた知見を積極的に内外の発信するべく、学術論文への投稿も行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2014年度は所属機関の変更があり、当初の計画からの変更を余儀なくされた。そのため、支出予定にも変更が生じたために、未使用額が発生した。2015年度は繰り越し分は試薬などの消耗品の購入に充てる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度分に関しては、消耗品費として、試薬、溶媒、器具の購入を予定している。 国内学会(高分子年次会、高分子討論会、日本化学会)で研究成果を発表するための出張旅費および国際会議での研究成果の発表のための支出を予定している。
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Research Products
(19 results)