2015 Fiscal Year Research-status Report
父親の社会階層と青年期から成人期へ移行する父子関係―中国山西省における実証的研究
Project/Area Number |
26870197
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
劉 楠 山形大学, 男女共同参画推進室, 助教 (00713744)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 父子関係 / 階層の世代間伝達 / 父親 / 社会階層 / 子どもの教育達成 / 子どもの生活状況 / 中国山西省 / 都市農村の地域格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高校卒業した子どもたちとその父親は、その後どのような進路を選択し、人生を歩み始めたのであろうか。大学に進学したのか、それとも就職を選んだのか。父親の社会階層と家庭教育が青年期の子どもの生活状況に、現在どのように影響を及ぼしているであろうかを明らかにする。 学術的な特色と独創的な点は、以下の点である。第1に、現代中国の社会階層による教育格差を検証している点、第2に、父親と子どものペアデータを収集し、父親のみならず、青年期の子どもからみた父親との関係が分析可能な点、第3に、5年間経過後の追跡調査を行うことによって、時系列で親子関係の変化の状況が検討可能な点である。特色な点は、青年期の子どもについても父親についても、同じ対象者での追跡である。子どもについて、高校での学校生活から高校卒業後の社会生活まで追跡できることと、父親について、子どもが高校の時の、家庭教育から子どもに対する社会的支援まで追跡することにより、多くの知見が得られるであろう。現代中国における青年期の子どもを持つ父親に注目し地域格差と社会階層格差を家族社会学の視点から捉えようとする研究が少ないなか、本研究は独創性をもつ研究である。 平成27年9月1日より研究が再開したが、平成28年3月31日までの半年間は、主に以下のように研究を推進してきた。平成27年9月~12月父親用と子ども用それぞれの質問紙を作成し、平成28年1月に山形大学男女共同参画推進室における研究倫理審査を受けた。同年2月~4月調査倫理に関しては調査業者と契約したうえ、追跡質問紙調査を依頼し、父親と子どもを対象にそれぞれのデータ収集を行った。回収数は169名(子ども88名、父親81名)である。 【補足】平成26年10月出産したため、産前産後の休暇又は育児休業の取得などに伴い補助事業を平成26年8月12日~平成27年8月31日まで1年間中断したが、平成27年9月1日より研究が再開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年9月研究再開してから12月までに質問紙を作成し、平成28年1月に調査研究に関する研究倫理審査を受けた。同年2月~4月に、調査倫理について調査業者と契約し調査依頼をした。 5~6年前の連絡先の記録がある746名の高校生と父親を対象に、質問紙調査を行った。この度の追跡質問紙調査は、インターネットによる調査ではなく、訪問面接法で実施した。具体的に、把握している対象者をリストに基づき電話またはメールで対象者一人ひとりと連絡を取り、主旨説明したうえで訪問面接を行う、というプライバシー保護の視点から訪問面接法でデータ収集を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は以下のように研究を推進する。 2月~4月に収集したデータを分析し、学会報告と論文の投稿に努める。 まず、6月長崎で開催される日中社会学会で学会報告を行う予定である。また、10月宮城で行われる家政学会家族関係部会で報告するよう、準備を取り組んでいる。 さらに、論文の投稿においては、日中社会学会の学会誌と山形大学紀要などによる論文の掲載を計画している。
|
Causes of Carryover |
中国山西省の追跡質問紙調査は1月~4月で依頼しており、納品は4月下旬というスケジュールで実施した。よって、会計手続きは次年度使用額に納めることになっている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画としては、主に調査依頼費用、学会において研究報告する時の旅費、さらに、科研費研究結果報告書の印刷代に充てる予定である。
|
Research Products
(5 results)