2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870215
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀川 恵司 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (40467858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本海 / ネオジム同位体比 / 魚歯化石 / 鉄マンガン水酸化物 / 鮮新世 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き,日本海U1425コアについて,魚歯化石/骨片化石と鉄マンガン水酸化物のネオジム同位体比の分析を進めた。現時点で68試料のネオジム同位体比分析を終えた。
当初の想定に反し,魚歯骨片化石の産出にムラがあり,産出数の少ない層準がすくなからずあった。そのため,連続的なネオジム同位体比を復元する際の問題となっている。これまで,TIMSでのネオジム同位体比分析では,100ng前後の量を必要としていたが,対象とする魚歯骨片化石の産出数が制限される堆積区間もあるため,今年度は,TIMSでの微少量Nd同位体比分析の手法改良にも取り組み,数十ng程度のNd量でネオジム同位体比分析が行える目処を立てた。これにより,最終年度は,微少量Nd同位体比分析による魚歯骨片化石の分析を行い,過去10Maの日本海のネオジム同位体変遷を0.1Myr間隔の時間解像度で明らかにし,日本海の形成史と深層水の起源について理解を深める。
これまで得られているネオジム同位体比の推移から,①10Ma-4.5Ma区間(-3.2~-4.6eNd),②4.5Ma-0Ma区間(-4.5~-6eNd)の2つの区間に大きく区分されることが明らかになった。特に,4.5Maに急激なネオジム同位体比の変動があり,10Maの中でもこの時期を境にして日本海の形成・島弧の形成に大きな変化があった可能性が出てきた。そのため,今後は,4.5Ma前後の日本海のネオジム同位体比の鉛直的・空間的な特性を把握するために,IODP346次航海で採取されたU1425以外の日本海コア(4サイト)についてもネオジム同位体比を復元する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究試料としているU1425コア試料の計200試料について,前処理を終えた。さらに,分析対象としていた魚歯骨片化石の有無についても,2/3程度の試料について確認を終えている。当初懸念していたとおり,魚歯骨片化石の産出は散在的であり,コア長400mの堆積物を通して,産出の多い層準と少ない層準があった。この情報を基礎として,魚歯骨片化石の産出の少ない層準において,再度追加試料のリクエストを行った。 また,従来の分析よりも微少量でネオジム同位体比分析を行えるよう分析手法を改良し,魚歯骨片化石の産出数の少ない層準においても同位体比データを出せるよう工夫をした。最終年度h28年は,U1425コアのネオジム同位体比データ数の拡充が見込まれ,さらにU1425以外のコア試料についてもネオジム同位体比を分析する予定で,これらのデータを総合的に解釈することで,日本海の形成史および深層水起源について新しい知見が得られると期待される。以上のことより,研究は研究計画に沿って概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を達成するには,議論の基になる分析データが少ない。そのため,最終年度にさらにデータを加えられるようにする。具体的には,微少量でネオジム同位体分析を行える手法を構築したので,この分析手法を用いて,今後,魚歯骨片化石の産出数の少ない層準でデータを拡充させていく。
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