2014 Fiscal Year Research-status Report
健診コホートを用いた慢性腎臓病の進展および改善因子の縦断的検討
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26870218
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
遠山 直志 金沢大学, 大学病院, 特任助教 (50624871)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 高尿酸血症 / 生活習慣病 / 予防医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全や心血管病のリスク因子である。高血圧や糖尿病など、いくつかの因子がその発症に関連していることが様々な介入研究などで示されているが、尿酸や脂質異常症などの代謝因子とCKD発症との関連については、十分に明らかにされていない。そのため、これらの関連の検討は予防医学や治療に際して重要な理論背景となる。本研究では、日本人の大規模健診コホートを用いて、これら代謝因子とCKD発症との関連を明らかにすることを目的とした。 JA神奈川県厚生連における24万人の健診コホートのデータのうち、腎機能の経過が追跡可能である群を対象に解析を行った。CKD発症を推算糸球体濾過量(eGFR) 60 ml/min/1.73m2 と定義し、男女別に検討を行った。方法はCOX比例ハザードモデルを用いて行い、血圧やBMIなどの基礎情報について調整を行ったうえで、正常尿酸血症群に比較した高尿酸血症群のリスクを算出した。その結果、正常尿酸値の群と比較して、男女ともに高尿酸血症の群においてCKD発症のリスクが高いことが明らかとなった。特に男性においては、軽度の高尿酸血症であってもCKD発症のリスクが高い傾向を認めた。 高尿酸血症はメタボリックシンドロームと共に有病割合の高い疾患であり、飲酒などの生活習慣と密接に関わることが知られている。本研究の結果から、高尿酸血症を予防あるいは治療することで、CKDの発症を抑制できる可能性が示唆された。この結果は、今後の生活指導や介入研究における基礎的な情報になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、日本人の大規模検診コホートを用いることで、CKDの発症と改善に関連した因子を明らかにすることである。研究計画に従って、コホートを用いて、CKD発症予防に関する因子を特定できたことで順調に進展していると思われる。 本研究で得られた結果に基づき、尿酸とCKD発症との関連について論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コホートを用いてその他のCKD発症の因子を特定する。さらに、改善に関連した因子も特定する。改善に関しては自然回復などの現象も考慮するために、より長期のデータを収集する必要がある可能性があげられる。そのため、今後もJA神奈川県厚生連と協力し、コホートについての情報を蓄積していく必要がある。今後の解析については、海外の研究機関とも協力していく予定である。
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Causes of Carryover |
協力研究である多摩大学との会議は申請前に行っており、今年度は解析を主に行った。そのため、旅費などの使用される機会が少なく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度はさらなるコホートの蓄積や学会発表などを含めて、今年度分を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)