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2014 Fiscal Year Research-status Report

不純物プロファイル分析による偽造医薬品鑑別法の精度向上に関する研究

Research Project

Project/Area Number 26870220
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

吉田 直子  金沢大学, 薬学系, 助教 (20565428)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords偽造医薬品 / 鑑別 / 不純物プロファイル / ラマン散乱
Outline of Annual Research Achievements

迅速かつ確実な偽造医薬品の鑑別法を検討し、その精度を向上させることを目的として、平成26年度は、これまでに偽造医薬品の流通が多く確認されているED治療薬を例に、これまで偽造医薬品鑑別の手法として注目されていなかった不純物プロファイル分析を行うための分析条件の検討、錠剤表面の外観観察およびラマン散乱分析を行った。検討には、Viagra(R)とCialis(R)の正規流通品(正規品)、製造元により真正性を確認されたそれぞれの真正品と偽造品を用いた。
不純物プロファイルを得るために、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)-フォトダイオードアレイ(PDA)法を用いて、ED治療薬の主成分を一斉に分離・定量する条件を確立した。しかし、本条件では全ての不純物を検出できない可能性があるため、さらに質量分析による定性を行うこととした。
金属顕微鏡を用いて、有色のコーティング錠であるViagra(R)とCialis(R)の錠剤表面を500倍拡大下で観察した結果、Viagra(R)では正規品、真正品および偽造品において、顕著な違いは認められなかった。一方、Cialis(R)では、均一な着色が観察された正規品と真正品に対して、偽造品の一部では斑点状の不均一な着色が認められた。
Viagra(R)とCialis(R)それぞれの正規品、真正品および偽造品について、非破壊的に錠剤表面のラマン散乱分析を行った結果、正規品と異なるラマンスペクトルを示す錠剤は偽造品である可能性が示唆された。しかし、偽造品であっても正規品と差異が認められないラマンスペクトルを示す場合があった。
以上の結果から、より迅速な偽造医薬品の鑑別手法として外観観察やラマン散乱分析の有用性は示されたものの、精度は不十分であり、より確実な鑑別手法を確立するためには、不純物プロファイル分析などの他の分析手法を試みる必要性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成26年度の研究計画として予定していたED治療薬Viagra(R)、Levitra(R)およびCialis(R)のそれぞれの主成分であるシルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル水和物およびタダラフィルの一斉分析について、HPLC-PDA法を用いて、それぞれを分離・定量可能な条件を確立することができた。しかし、過酷条件下での保管により生成する分解物と長期保管により生成する分解物の検出はできなかった。また、実際にインターネット上に流通していたViagra(R)とCialis(R)それぞれの真正品と偽造品およびポジティブコントロール製剤となる未承認規格のCialis(R)100 mg錠を入手はしているものの、本研究で確立した分析条件を用いてそれらの不純物プロファイルを把握するには至らなかった。
一方、平成27年度の研究計画として予定していたラマン散乱分析を前倒して実施することができ、その偽造医薬品鑑別における有用性について検討することができた。また、顕微ラマン散乱分析装置を利用したことがきっかけで、顕微鏡観察により、錠剤表面の外観の違いから偽造医薬品を鑑別できる可能性を見出すことができた。
以上より、平成26年度に実施した研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展しているものと考える。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度は、複数の分析手法を用いて、偽造医薬品の偽造パターンを解析し、偽造医薬品鑑別ポイントを明確化する。さらに、より高い精度で偽造医薬品を鑑別するためのアルゴリズムを構築する。
1.各種分析手法を用いた偽造医薬品鑑別:Viagra(R)とCialis(R)それぞれの正規品、真正品および偽造品について、複数の分析手法を用いて差異を明らかにする。具体的には、平成26年度に確立された分析条件により、製剤中に含まれる主成分の定量を行うとともに、それぞれの不純物プロファイルを把握する。米国薬局方の偽造された疑いの医薬品をスクリーニングするための外観観察チェックリスト(Tool for Visual Inspection of Medicines)を用いて、詳細に包装と製剤を観察する。薬局方に準じた品質試験により、製剤の品質を評価する。薄層クロマトグラフィ-Direct Analysis in Real Time-MS法による分析を行い、より簡便に、含有成分を定性的に確認する。近赤外分光分析を行い、製剤全体に存在する成分由来のスペクトルを非破壊的に得る。それぞれの分析において、正規品、真正品および偽造品を比較する。
2.偽造パターン解析と偽造医薬品鑑別ポイントの明確化:複数の分析手法を用いて得られた結果に基づいて、偽造品に特徴的なシグナルを見つけ、偽造パターンを解析することにより、偽造医薬品鑑別において着目すべきポイントを明らかにする。また、鑑別の迅速化を図るために、より重要な鑑別ポイントを絞り込む。
3.偽造医薬品鑑別法の確立:見出された偽造医薬品の鑑別ポイントに対して、それぞれの分析手法による鑑別精度を比較検討する。各鑑別ポイントに対し、最も感度・特異度の高い分析手法の組み合わせを導き出すとともに、偽造医薬品鑑別の手順を定式化した鑑別アルゴリズムを構築する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 医薬品の品質管理に貢献する分析-偽造医薬品鑑別における分析手法の活用-2015

    • Author(s)
      吉田直子
    • Organizer
      Matching HUB Kanazawa 2015
    • Place of Presentation
      ANAクラウンプラザホテル金沢(石川県金沢市)
    • Year and Date
      2015-02-23 – 2015-02-23
    • Invited

URL: 

Published: 2016-06-01  

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