2014 Fiscal Year Research-status Report
高速液中周波数変調AFMによる原子スケールでの結晶成長メカニズムの解明
Project/Area Number |
26870221
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小林 成貴 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40595998)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 原子間力顕微鏡 / 固液界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高速動作可能な液中周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いて、結晶成長の様子を原子スケールで直接観察することで、結晶成長メカニズムを根本から理解することである。 平成26年度は、研究代表者の異動に伴い、液中FM-AFM装置を一から立ち上げることに多くの時間を要した。装置立ち上げ後、残りの期間で実験系の再現およびフッ化カルシウム以外の最適な結晶試料の探索を行った。 一方で、液中FM-AFMによる水和構造計測の実験結果を理論シミュレーションと比較することで、液中FM-AFMによる水和構造計測メカニズムを議論した。フッ化カルシウム/水溶液および炭酸カルシウム/水界面での水和構造計測の実験結果とシミュレーション結果はほぼ一致することが分かった。そこから、探針先端原子直下で生じる水和構造変化や水の閉じ込めによって探針先端原子に直接作用する力が、原子スケールのコントラストの形成に支配的に寄与することも分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画は、26年度はフッ化カルシウムをはじめとした結晶の成長過程の原子スケール観察に取り組む予定であった。しかしながら、研究代表者の異動に伴い、液中AFM装置を一から立ち上げる必要が生じたため、現状復帰までに相当時間を要した。そのため、目標の時点までは到達しておらず、現時点での達成度は「やや遅れている」と自己評価した。 平成27年4月現在、AFM装置は順調に稼働しており、これまでの遅れを取り戻すべく、当初の計画を推進している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は当初平成26年度の予定であった、ステップエッジにおける結晶成長の様子と、そこでの水和構造を液中FM-AFMを用いて原子スケールで観察することを中心に取り組んでいく。また、観察対象として当初はフッ化カルシウムを予定していたが、フッ化バリウムといった他のアルカリ土類フッ化物との比較や、ステップエッジでの成長機構の理解が、良質な結晶作製に重要なタンパク質結晶を対象にすることも考えている。
|