2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 界面運動 / 双曲型問題 / 位相変化 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ここ1年間の研究では,動く界面の接触角への慣性の効果に注目した.これは双曲型作用素に支配される界面の自由境界問題にあたり,非常に難しい問題であるが,放物型問題(平均曲率流など)の場合の最近の研究結果を元に,双曲型でも適用できる方法を確立した. すなわち,平均曲率流に従って運動する界面の個体上の接触角を調べるのではなく,個体を(極めて動きにくい)界面として一般化し,接合点を含む界面ネットワークの運動に帰着させるアイデアが発表された. 加速度が曲率に比例するタイプの双曲型の界面ネットワーク運動についても同じような定式化を行い,物理的な法則に基づいた界面運動モデルを設計した.これにより,接合点(接触)の角度に対する支配方程式が自然に決まり,解析が可能となる. 数学的解析は3つの界面が接合点で交わる場合に現在,行っている(発表予定).一方では,界面ネットワークの双曲型運動に対し,効率がよく,数学的に裏付けられた数値解法がこれまで開発されていなかったが,今回はレベルセット法の枠組みに分類される方法を確立し,その解析を行った.この方法は,問題の次元によらず,位相変化や非局所的な制約を自然に表現することができ,強力な方法であると思われる.また,平均曲率流の場合にそうであったように,双曲型運動の数学的な理解にもつながるアプローチになると期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目標である双曲型自由境界問題の数学的な理解と応用は,研究結果がほとんどない難しい課題で,研究計画で意欲的に書いたような多くのことを解明することが短期間では困難なことがわかった.より簡単とされる放物型問題でも未解決な部分に対応するところがあるため,双曲型での接合点の挙動を定式化し,解析できるようにし,数値解法を提案したのが十分価値のある成果だと思う.しかし,研究計画から見るとほんの一部しか成し遂げていないことになってしまう状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最後の1年では,研究計画で掲げた目標をすべて達成するのが難しいので,その目標に近づけるのに必要な本質的な結果をできるだけ多く出していきたいと思う. 特に,これまで開発した双曲型モデルの詳しい解析を行う.数学的な解析として,三叉路(2次元において3つの界面が接合点で交わる状況)の運動問題を中心に,一般次元と特異性伝播の解析へと発展させる.また昨年度に開発した数値解法における接合点の安定性解析を行う.さらに,細胞組織形成への応用を念頭に,(放物型問題でも完全にわかっていない)表面張力が非一様なときの運動についても考える. 一方で,液滴の運動の理解に必要な界面と流体の連成問題も扱う.Stokes方程式など解析が確立されているような流体モデルを採用し,界面とその連成のwell-posednessと対応する数値解析を行い,Navier-Stokesモデルへの拡張を目指す.
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Causes of Carryover |
予定していた出張ができなかったため,少額の残高が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究者の招聘や研究集会への参加を増やし,研究に関する情報収集を行う.
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