2015 Fiscal Year Research-status Report
広周波数帯での不可視化を目指したワイドバンド光学迷彩のトポロジー最適化法の開発
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26870239
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤井 雅留太 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (90569344)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光学クローク / カーペットクローク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は複数の周波数で不可視化を実現するためのトポロジー最適設計プログラムを開発した.複数の周波数でのデバイスの性能をそれぞれ評価し,各周波数でのトポロジー導関数をそれぞれ計算し,それらの平均に基づいて構造を更新していくプログラムを開発した.また,光学クローク以外のクローキングデバイスとして,カーパットクロークの設計も可能となるよう,プログラムを拡張した.カーパットクロークに関しても,同様に複数の周波数で不可視化の性能を有する構造を設計することが可能となっている. また,最適設計の最適解は初期構造にも依存するため,良い性能を得ることが可能な初期解に関する調査も完了している.さらに,最適設計の計算も途中で破綻することなく,最適化構造を得ることが可能となった.最適化の対象としている周波数はクロークの設計領域を代表長さとして無次元化周波数2.5を中心とし,2.0から3.0程度の範囲において計算をおこなった.無次元化周波数2.5を500nmの波長の光であると仮定すると,400nmから600nm程度の可視光域の波長に相当する. 現状として良い性能を実現できるものの,得られた構造は微細かつ複雑な構造が含まれており,実際に作成可能な最適化構造を得るところまでは至っておらず,性能と形状を両立した最適化結果が得られない.細かいスリットの入った初期構造から最適化計算を開始しているが,その初期構造が微細かつ複雑な構造として最適化構造にも残存している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光学クロークおよびカーペットクロークのトポロジー最適設計プログラムの開発はすでに完了した.しかし,現状として良い性能を実現できるものの,得られた構造は微細かつ複雑な構造が含まれており,実際に作成可能な最適化構造を得るところまでは至っておらず,性能と形状を両立した最適化結果が得られない.原因としては初期構造に微細な構造を含むため,最適化構造を得るまでの間に感度が低い箇所の構造に変化させることができていないと考えられ,初期構造が残存したような最適化構造が得られている. 初期構造が残存した微細構造を周囲長を調整するパラメータにより,制御することを試みるが,1つの計算に2週間ほどかかり,本年度終盤にやっと適切なパラメータの範囲が明らかになりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,形状に関する制約の度合いを決めるパラメータに関する調査を行っている.また,形状を決定するレベルセット関数の値および,その勾配に関して調査し,適切な制約を効かせることを検討している.問題はほぼ解決しつつあるので,次年度ではマルチコアの計算機を購入し,並列して最適化計算を行う.論文執筆に必要な計算結果,データを収集し,迅速に結果を公表する. また,物理的な側面からは,複数の周波数で無散乱化を実現するためには複数の周波数の組み合わせも重要になってくることが予想される.これは物理的に不可能となりうる組み合わせ,例えば長い波長と短い波長を同時に無散乱化する等,現実的に実現できる範囲の周波数域を模索することが必要となってくる.これらの周波数はクロークの構造全体やその内部の構造からどの程度の波長に構造が作用することができるかを見積もり,効率的に探索することが重要である.
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Causes of Carryover |
最適化構造が複雑になる問題が解決できなかったため,大規模な計算は現在のところ行えていないという研究の進捗状況であった.そのため,本年度は大型の計算機を必要とするところまで達成できなかったが,次年度は構造的な制約の問題が解決し次第,本格的な計算に入る.複雑な構造が入り混じる構造の問題は本年度下旬にはほぼ解決しつつあるので,次年度初旬から中旬には本格的な計算を予定しており,既に購入予定の計算機の見積もりを依頼している.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在,すでに大型計算機の見積もりをとっており,繰り越した科研費が使用可能になり次第,発注する予定である.また,試験的な計算はほぼ完了しているため,その研究成果を発表するために7月にソウル(韓国)で開催される国際会議に参加し,その渡航費として使用する.これらの費用は平成28年度請求額と合わせて使用する.
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Research Products
(3 results)