2014 Fiscal Year Research-status Report
磁性イオン液体を用いた磁場応答性ナノチューブの創製と磁場応答性機構の解明
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26870240
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
二村 竜祐 信州大学, 先鋭領域融合研究群環境・エネルギー材料科学研究所, 研究員 (90647223)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁性イオン液体 / カーボンナノチューブ / 磁化率 / リバースモンテカルロ / 分子シュミレーション / 複合材料 / 磁場応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では磁性イオン液体をカーボンナノチューブ細孔中に閉じ込めることで、非常に高い磁場応答性を示す機能化カーボン材料『カーボンナノチューブ磁石』の合成を目指している。さらにその磁場応答性機構をXRD及び分子シミュレーションによるミクロな視点からの解明を試みている。本研究の成功は、ナノサイズの磁気ヘッドといったナノ磁気デバイスの創製や、超電導磁石といった高磁場が必要であった、カーボンナノチューブの3次元的な配向制御に対しての低磁場化に直接つながる。 平成26年度において、(1)カーボンナノチューブ‐磁性イオン液体複合材料の調製法の確立(2)カーボンナノチューブ細孔中の磁性イオン液体の相挙動及び構造の解析、(3)磁場応答性の評価を行うことを計画した。 (1)については、磁性イオン液体の充填率を系統的に変えたサンプルを調整し、複合材料の吸着等温線測定、及び放射光施設(Spring-8)のX線散乱測定を用いたSAXS散乱測定により磁性イオン液体がサンプル中に有効に導入できることが確認できた。 (2)については、ワークステーションを導入し、第一原理計算及び分子動力学シミュレーションが行える環境を整えた。また現在、信州大学理学部飯山准教授と協力して、カーボンナノチューブ細孔中のイオン液体構造についてリバースモンテカルロ(RMC)シミュレーションによる3次元的な構造解析を進行中である。 (3)については、SQUID装置を用いて複合材料の磁化率の温度依存性について検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画については概ね計画通りに進行中である。SQUID測定については平成26年度に装置トラブルが発生したため実験をストップしていたが、問題が解決したため平成27年度は予定どおり測定を行える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、カーボンナノチューブの細孔径および磁性イオン液体の種類を変えて複合材料を調製、構造解析・磁場応答性を評価し、磁場応答性機構の解明を行うことを予定している。特に、磁場応答性機構の解明にはミクロな視点からの検討が不可欠であり、現在進行中である、RMCシミュレーションを用いた『円筒型細孔中での分子集団構造の解析法』を確立する必要がある。これについては、飯山准教授との協力の下、解析プログラムを改良中である。 さらには、カーボンナノチューブ‐磁性イオン液体複合材料の応用面への有効性を検証するために、高い磁場応答性を示す複合材料を用いて、カーボンナノチューブ磁気配向膜の調製を試み、その配向性についてXRD測定により評価を行う。
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