2015 Fiscal Year Research-status Report
高レベル放射性廃棄物処分場の立地問題 地域受容性の国際比較研究
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26870249
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中澤 高師 静岡大学, 情報学部, 講師 (50723433)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高レベル放射性廃棄物 / NIMBY / 国際比較研究 / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物の処分は世界的に喫緊の問題であるが、処分場の建設はそのリスクから地域社会の合意を得ることが困難である。しかし、各国における進捗には相違があり、フィンランドやスウェーデンでは地元の同意と協力を伴って建設が進められている。本研究の目的は、高レベル放射性廃棄物処分場立地の社会的受容の国際的な違いを比較研究によって明らかにすることである。 平成27年度においては、引き続き日本における高レベル放射性廃棄物処分場立地問題の調査を行った。政策文書、報告書、新聞記事、議会会議録、学術論文を中心に文献を収集し、制度構造や立地プロセス、これまでの経緯に関する分析・把握に努めた。また、NUMOや資源エネルギー庁が主催するシンポジウムに参加し、科学的有望地の選定や地域的合意形成についての取り組みを観察している。 同時に、諸外国における同問題の基礎的な文献を収集し、各国の原子力政策や高レベル放射性廃棄物処分の制度的な相違の把握に努めるとともに、国際比較のための分析枠組みの構築を目指して、先行研究の検討を行った。また、フィンランドにおける同問題の第一人者であるTapio Litmanen氏(ユバスキュラ大学)をたずね、氏との議論から、いかにこの問題が同国のエネルギー政策やエネルギー産業、北欧型福祉国家、地方自治制度などと関連しているのかについて示唆を受けた。また、氏はこの問題を研究している他国の研究者とも交流があり、今後の国際研究ネットワークの構築に向けての足がかりを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の業務・講義とPhD論文に大きな時間を割かざるを得ず、初年度の遅れを取り戻すにはいたっていない。また、研究協力者であるHayden. Lesbirel氏(豪ジェームズクック大学)が所属組織の改組に伴い多忙を極め、氏を軸とした国際研究ネットワークの構築や、比較枠組みの構築が計画通り進行していない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況の遅れを踏まえ、研究計画を次のように変更する。まず、今年度は引き続き各国の基礎的文献資料を収集・分析し、高レベル放射性廃棄物処分場立地の進捗の相違を説明する仮説を構築する。同時にTapio Litmanen氏を通じて各国の代表的な研究者を訪問し、各国のより詳細な情報を得て仮説の検証を行うとともに、平成29年度に国際ワークショップ開催のための人的ネットワークを築く。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じており、研究成果の発表に関わる費用(学会旅費、英語校正)で差額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、各国の主要研究者を訪問し意見交換と国際ネットワークを構築するための旅費が主な使途となる。それとともに、論文執筆のための英語校正費にも使用する計画である。
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