2015 Fiscal Year Research-status Report
高齢者における「焦り」の認知的制御に対する妨害メカニズムの解明と認知工学的応用
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26870251
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
須藤 智 静岡大学, 大学教育センター, 准教授 (90548108)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 焦り / 認知的加齢 / 認知制御 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、時間制限・情動喚起といったプレッシャーによって生じる高齢者の「焦り」による認知的制御の妨害メカニズムを明らかにすることを目的としている。 これまでの先行研究では、高齢者におけるプレッシャー下での認知制御の特徴については検討されていない。そこで、本研究では、(1)プレッシャー状況による情動喚起が高齢者に対して有効であるかどうかその方法の検証、(2)その情動喚起の程度を客観的・主観的な方法で評価する手法の開発、(3)プレッシャー下の状況設定による情動喚起下での高齢者の認知制御への影響についての検討を目的に研究を実施している。 本年度は、上記の目的にもとづき以下の実験を実施した。(1)シナリオ提示によるプレッシャーが高齢者の情動喚起を生起させ、認知制御に影響を与えるかどうかの検討(実験1-1)、(2)主観的評価、客観的評価(心拍)がプレッシャー下状況の心的情報を反映しているかどうか(実験1-2)、(3)タイムプレッシャー下での認知的制御、特に視覚的注意に関する制御の特徴について検討する実験を行った(実験2)。これらの研究の結果については、現時点での分析結果としては、シナリオベースの状況設定は「情動喚起」を生起させるが、シナリオの種類によってその生起の有無が異なる可能性、認知的制御への影響については個人差が大きい可能性が示唆された。主観的評価・客観的評価については、特に心拍が情動喚起場面でその心的状況を反映している可能性が示唆された。また、タイムプレッシャー下では視覚的注意制御において、高齢者において事前に与えられた手がかりと異なる領域にターゲットが提示された場合、タイムプレシャー下では、手がかりへの固執が生じ、ターゲットの探索時間が長くなる現象が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年者の参加者の確保、生理指標の予備実験、実験補助者のトレーニング等の実験実施の準備に時間がとられてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験実施のための補助者のトレーニング、実験実施スキームも構築できているため、2015年度のノウハウを生かして2016年度は研究を推進したい。また、スケジュール的に無理がある点については調整しながら最善の策を考え実施したい。
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Causes of Carryover |
高齢者実験を2つ実施する予定であったが、年度末の実験実施1つになってしまった点。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、実験実施補助者の雇用計画を早めに実施するとともに、高齢者実験を定期的に実施することて、実験実施を効率的にすすめ、経費執行も迅速に進める。
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Research Products
(5 results)