2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870261
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 和歌奈 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90569386)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | GeSn / 欠陥 / DLTS / 結晶成長 / MOCVD |
Outline of Annual Research Achievements |
GeSnはSn組成によってエネルギーバンド構造を変調可能である。Sn組成8%程度で直接半導体になる。直接遷移化により、光学特性の増強や移動度増大が見込める。そのため、長波長の発受光素子などの光学デバイスやMOSFET、トンネルFETなどの電子デバイスへの応用が期待されている。これまで、分子線エピタキシー法(MBE)によりGeSnの成長メカニズムや欠陥評価などが盛んに行われてきた。初年度は1.Snイオン注入によるSnに起因する欠陥形成やその回復過程について、2.成長中の水素ガス雰囲気や後熱処理による欠陥の挙動について明らかにしてきた。次年度ではMBE中でガス雰囲気を変えその効果を調べた。しかしながら、欠陥に起因したキャリア濃度が10^17cm-3台よりも下げることが困難であった。一般的に結晶成長温度が高い方が結晶性が良いことが知られている。一方、Snの析出のためMBE法では成長温度を上げることが困難であった(成長温度100℃~170℃)。そこで、さらに欠陥密度を下げるために、高温での成長が可能な化学気相成長(CVD)法での結晶成長に取り組んだ。一般的に、CVD法ではGeH4やGe2H6ガス原料が使われる。しかしながら、これらの原料は自己分解性が高く爆発の危険がある。そのため、本研究では取り扱いが比較的容易な有機金属(MO)原料を用いた。MOのGeSnの結晶成長は世界的に見てもほとんど例がない。その中で、我々のグループではMOCVD法での成長でもっとも高い6%程度のSn導入に成功している。このMOCVD法での成長により成長温度が270℃~350℃の範囲でGeSnの形成が可能になった。その結晶性はMBEに比べて高く、欠陥に起因したキャリア濃度がさらに低減した。電気的な欠陥についてはGeSn膜では価電子帯近傍の欠陥とミッドギャップ近傍の欠陥が検出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MBE法では成長雰囲気や後熱処理では更なる高品質化が困難であることが明らかとなり、当初の予定では検討していなかったMOCVD法による結晶成長に取り組んだ。MOCVDは世界的にみてもほとんど研究例がない。しかしながら、我々のグループでは比較的取り扱いが容易なMO原料を用いてMBE法に比べて高温で成長可能なMOCVD法を用いた結晶成長を行った。世界最高水準のSn組成6%程度のGeSn膜の形成に成功した。その膜の結晶性はMBE法と比べ格子の揺らぎや、点欠陥が少なく非常に良好である。これらの膜から価電子帯近傍の欠陥およびミッドギャップ近傍の欠陥が検出された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はMOCVD膜中の欠陥起源をイオン注入実験と照らし合わせながら進める。具体的にはSnイオン注入でSnの欠陥を調べるだけでなく、さらに原料に含まれるCの影響や雰囲気中に意図せずにはいる可能性があるH、OをSnイオン注入後にイオン注入し、電気的に活性な欠陥が形成されるかを調べる。GeSn膜に関してはSn原料の探索を行いながら、直接遷移化の8%導入を目指すと共に、高Sn組成におけるSnに起因した電気的活性な欠陥を明らかにし、その欠陥回復手法を後熱処理により検討する。これらの評価法として、電気的活性な欠陥はDLTS測定により行い、結晶性や光特性はX線回折やPL測定により評価を行う。不純物元素の膜中プロファイルはSIMS測定により評価を行う。
|
Causes of Carryover |
前年度に購入予定であったパルスジェネレーターであるが、キャパシタンスメーターの修理が必要になったため、金額が足りず、パルスジェネレーターの購入を見送ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度購入を見送ったパルスジェネレーターの購入および、欠陥準位を調べるためのリファレンスサンプルを作成するためのイオン注入や不純物元素の分布を調べるため、2次イオン質量分析測定の外注依頼に使用する。
|
Research Products
(12 results)