2014 Fiscal Year Research-status Report
固体酸化物直接電解による新規なセラミックスナノ結晶合成法の開発
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26870273
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 克敏 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (80626010)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セリア / ナノ結晶 / 直接電解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、固体酸化物の直接電解反応を利用した電気化学的な酸化物ナノ結晶合成法の開発を目的とする。酸化物ナノ結晶合成法として現在までに様々な手法が提案されているが、いずれの手法においても反応過程での積極的な構造制御が難しく、任意の形態・構造を得ることはできていない。本研究で提案する電気化学的手法を用いることができれば、反応過程での制御性が格段に向上し、環境負荷の小さい合成条件下で機能性の高い酸化物ナノ結晶合成が可能になると期待できる。一方で、導電性のない固体酸化物の反応を電気化学的に制御するためには、酸化還元対の基礎的な電気化学挙動に加えて、接触型電極上での直接電解反応の検討が不可欠である。本年度は、産業上重要なセラミックス材料であるセリア(CeO2)に着目して、価数の異なるセリウム水溶液中におけるイオン種および水酸化物の電気化学挙動について検討した。具体的には、3価および4価のセリウム水溶液にカルボン酸修飾剤を加えた系での沈殿形成反応の検討を行い、アルゴンガス雰囲気下の各水溶液中での電気化学測定、および沈殿物のX線回折およびラマン分光測定による分析を行った。また、沈殿の形成に伴って得られたスラリー中において白金電極を接触型電極として用い、スラリー中の水酸化物沈殿の酸化挙動について検討した。触媒材料への応用の可能性について検討するため、研究過程で得られたセリアナノ結晶を用いて貴金属材料との複合化を行い電子顕微鏡観察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集状況は十分ではないが、概ねセリウム酸化還元対の電気化学挙動を把握することができ、セリアナノ結晶を得る条件を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はセリアナノ結晶の形態制御について検討を進める。水酸化物スラリー中での酸化挙動について得られた前年度の知見をもとに、酸化還元サイクルに伴う形態変化および酸化度の変化について調査する。また、貴金属触媒を担持して触媒評価を行うとともに、セリア以外の材料への応用可能性についても検討する。
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Causes of Carryover |
初年度計画段階では実験補助者1名を雇用することを予定していたが、支給額の減額に伴い、旅費と併せて人件費の支出を削減した。物品費を当初予定どおりに支出した結果として残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度の残額は次年度の物品購入費の不足分の補助に当てることを予定している。
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Research Products
(4 results)