2014 Fiscal Year Research-status Report
柔軟な面状圧力センサを用いた多関節ロボットのインピーダンス制御
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26870274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舟洞 佑記 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20633548)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インピーダンス制御 / アシストロボット / 面状圧力センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
「体幹部アシストに適した機構決定法の提案」と「アシスト機構の決定」、および、「圧力分布に基づくインピーダンス制御のための制御系構成の提案」が主な成果である。これらの成果を国内1件(査読無)、国際1件(査読有)で発表した。またオープンキャンパス・大学祭・フロンティア21エレクトロニクスショーでも成果を紹介した。 目的達成のための大きな課題である「アシスト機構の決定」に対し、特定個人に適したロボットの機構を明らかにした。具体的には、特定個人の屈曲運動中の体幹部の姿勢を点群形状データとして取得、形状データに対するロボットのリンクモデルの最適化手法を提案した。4関節でリンク長が腰側から順に{40,320,120,320}[mm]となる構造により、特定個人の屈曲運動に追従できることを明らかにした。個人差の検討は今後の課題(本研究では扱わない)とするものの、提案した最適化手法に基づき個人差を考察できるため、本成果が大きく寄与する。「決定した機構を持つロボットの試作」について、ロボットは次年度初期に完成予定である。 圧力分布に基づくインピーダンス制御の実現を目指し、基本的な制御系構成を提案した。圧力モデルを用いたシミュレーションで、直接人体に加わる力を既存法より低減できる可能性を示した。具体的には、プロトタイプとなる制御系構成として、既存の「外乱トルクに基づく位置ベースインピーダンス制御法」を拡張し、「面状圧力センサから生成した擬似外乱トルクに基づく位置ベースインピーダンス制御法」を提案した。装着者とロボット間の現実的な接触状態に基づく制御の枠組みを提案した意義は大きいと考える。シミュレーションでは、次年度実施予定であった「所望のインピーダンスを実現する制御」のための制御系の基礎検討も行った。次年度は速やかに実機に手法を実装し、シミュレーションと実機の両面から制御法を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である「実世界での接触と同等な面での接触、および、多関節構造の駆動機構を対象としたインピーダンス制御法の提案」に対し、「人間の屈曲運動に追従可能なロボットの機構の決定」と「多関節駆動機構に対する面状圧力センサを用いたインピーダンス制御の実現の基礎となる制御系構成の提案」を概ね達成した。 研究実施計画においては、「ロボットの機構の決定」,「ロボットの試作」,「シミュレーションにおけるゼロインピーダンス制御法の検討」が平成26年度の大きな課題であった。「ロボットの機構の決定」と「シミュレーションにおけるゼロインピーダンス制御法の検討」はほぼ検討が済み、各々「最適化手法を用いた機構決定法の提案」と「インピーダンス制御の制御系構成の提案とシミュレーションによる検証」により、概ね課題は解決した。研究実施計画において10月完成を目指していた「ロボットの試作」は遅れており、平成27年度初期に試作ロボットが完成する見込みである。そのため、実ロボットにおける既存手法の評価、ゼロインピーダンス制御の実装は行えていない。一方で、シミュレーション上においては、ゼロインピーダンスに限らず部位ごとに異なるインピーダンスを設定できる枠組みが整った。当初、部位ごとに異なるインピーダンス制御の実現には、部位ごとのインピーダンスに応じた理想的な圧力分布の推定が必要となると見込んでいたが、部位ごとに異なるインピーダンスパラメータが設定できれば十分制御できる見込みが立った。当初の予定よりもシミュレーションによる検討は進んだ。実際に実機への実装を予定するインピーダンス制御法は、シミュレーションの知見が利用できるため、スムーズに実装が行える見込みである。 全体を統括すると、計画の部分的な前後はあるものの、おおむね順調に進んでおり、平成27年度中には研究目的が達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定に対して、シミュレーションによる検討は進んでいるが、実機の試作と実験が遅れている。平成27年度初期にハードウェアが完成予定の実機を早急に立ち上げ、実機とシミュレーションの両面から手法を検討する。これまでの知見に基づき、制御アルゴリズムを速やかに実装し、6月中に実機の立ち上げと手法の実装を目指す。前期中にシミュレーションと実機の両面から、圧力分布に基づく制御法を検討する。具体的には、平成26年度に提案した制御系構成の枠組みにおいて、擬似外乱トルクの生成法と制御パラメータの設定法を検討する予定である。また、10月を目処に官能試験にも取り組み、接触力に基づく評価のみならず、人間の感覚に基づく評価も行う予定である。 平成27年度は最終年度に当たるため、国内会議・国際会議・論文執筆などを行い、研究成果の取りまとめと対外発表を積極的に行う予定である。加えて、研究室ホームページや対外公開イベントなどを利用し、研究成果を広く社会に発信する予定である。
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Causes of Carryover |
ロボットの試作費用として見積もっていた額が、次年度使用額として生じた。 ロボットの構造決定に時間がかかり、発注処理が予定より遅れたためである。ロボット自体の費用が約100万円であり、ロボットを動作させるために必要なケーブルやソフトウェアなどの付随品で30万程度見積もっていたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ロボットは100万円で発注済であり、平成27年度初期に納品予定である。納品に合わせて現在付随品の選定・発注を進めており、平成27年度前期において繰越分は使用する予定である。
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