2014 Fiscal Year Research-status Report
国際語としての「日本英語」の談話的特徴の分析:コーパス準拠の仮説検証アプローチ
Project/Area Number |
26870277
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
藤原 康弘 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90583427)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際英語 / 「日本英語」 / コーパス / 談話的特徴 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本人英語使用者コーパス(JUCE)等を活用し,国際英語としての「日本英語」の談話的特徴の多層的な追検証を目的とする。JUCEとは,国際英語コーパス(ICE)を参考にし,日本人英語使用者,即ち「日本語を母語とし,日本で小中高の教育課程を経て,仕事で英語を使用するもの」(藤原 2006, Fujiwara 2007)により用いられた英語の集積データである。報告者の過去の研究にて得られた談話的特徴の追検証を行い,「日本英語」の特徴をより明確かつ詳細に示す予定である。
今年度においては,「内容語依存」,すなわち日本人英語使用者は内容語に依存し,英語母語話者ほど,機能語を用いないという特徴と,「定型性」,すなわち同じ語をある程度繰り返し使用する傾向の2つに焦点を当てて,ケース・スタディを行った。報告者はアジア人の英語使用者コーパスであるthe Asian Corpus of English編纂プロジェクトに関与している。そのプロジェクト内で得られた話し言葉のデータの一部を質的に分析し,同じ名詞の反復使用の傾向が一定程度伺える調査結果を得た。
これらの「内容語依存」や「定型性」を示唆する特徴が品詞,語彙のマクロな分析等で検出されているものの,今後さらにミクロな追検証が必要とされる。このような記述的研究を蓄積することにより,二言語併用者としての日本人英語使用者の英語の特質を体系的に記述することが期待される。その蓄積の暁には,現状の無理に英語母語話者の鋳型にはめる単一言語話者ベースの英語教育から,日本人英語使用者を目指す二言語併用者ベースの英語教育を構築することを可能にする意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度内に射程としていた分析対象項目には予定通り焦点をあて,取り組んだものの,十分なレベルまでの研究に達していない。その主たる理由は,所属機関の関連業務の運営や研究の都合で,本研究に対する時間が十分にとれなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,積極的に情報発信を行うことにより,関連の国内外の専門家よりフィードバックを得て,研究を進めることを考えている。また別の研究プロジェクトの運営業務や研究活動からも,大変貴重なフィードバックを得ることは多々ある。そのため,全体の業務に着実に取り組み,本研究課題の推進も行っていきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた統計ソフトウェア等の購入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に関連ソフトウェア等の設備やコーパス関連の図書を充実させ,本研究に注力する予定である。
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Research Products
(1 results)