2016 Fiscal Year Annual Research Report
Superconductivity enhanced by controlled inhomogeneity and effect of external field
Project/Area Number |
26870284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手塚 真樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (40591417)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 物性理論 / 強相関系 / 実時間ダイナミクス / 輸送現象 / 超伝導 / トポロジカル相 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究目的に基づき、有効次元を制御して安定化した超流動体の崩壊過程や、相関フェルミオン系のエネルギー散逸を伴う輸送現象における多体効果などを調べてきた。計画調書において、トポロジカル相関連の研究動向にも注目して研究を進めるとしていたところ、 ・2015年に、周期ポテンシャルの規則的な時間変化で輸送される粒子数が量子化される、サウレス量子ポンピングが冷却気体系で実現された。2次元の量子ホール系との対応をもつトポロジカル輸送現象である。理論提案ではポテンシャル変化が充分遅い場合、粒子間の相互作用や系の空間的乱れに対し頑健な量子化が予測されていたが、有限の速度の際のこれらの効果は未解明であった。本課題に関連し、冷却フェルミオン系で実現しうる相互作用につき、時間依存密度行列繰り込み群を用いたシミュレーションで輸送効率の駆動速度依存性を調べ、隣接する2個のポテンシャル極小点に着目した有効模型との比較を行った(投稿準備中)。 ・また、2015年に、高温超伝導体の母物質等の中性子散乱強度異常に関係し1990年代初頭より調べられてきた状態を実現する新たな系であるSachdev-Ye-Kitaev(SYK)模型が提案された。この模型の冷却気体系での実現法を提案し(arXiv:1606.02454,投稿中,プレプリントの引用29件)、有限自由度で分配関数、相関関数等の、系の対称性にも関連する特徴的な振舞を数値的に調べた(arXiv:1611.04650,投稿中,同37件)。さらに、SYK模型で時間非順序相関から検出されるリアプノフ指数がラージN極限でカオス系の上限を満たすとの予想をヒントに、非一様系のダイナミクスを特徴づけるリアプノフスペクトルを数種類のカオス系で調べ、自由度の増大とともに、準位統計がランダム行列のものに近づくことを見出した(arXiv:1702.06935,投稿中)。
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