2015 Fiscal Year Research-status Report
カメルーン東南部狩猟採集社会における遅延報酬の許容と萌芽的な社会階層化
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26870297
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大石 高典 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (30528724)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 民族境界 / 狩猟採集民と地球環境 / 超学際研究 / 先住民運動 / 人と動物の関係 / 養蜂 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年9月から10月にかけてカメルーン共和国に渡航し、熱帯雨林内の継続調査地ドンゴ村、ならびに近隣都市でバカ・ピグミーと近隣農耕民の経済活動、ならびに人と犬の関係について現地調査を行なった。東部州・州都のベルトゥア市では、これまでの研究内容をふまえ、バカ・ピグミーの先住民権について活動している地元NGOであるAssociation Okaniのメンバーと、意見交換を行なった。2016年9月と12月には、比較研究のため長崎県対馬市を訪問し、ニホンミツバチの養蜂家に聞き取り調査を行ったほか、南アジアや都市生態系の研究者とともに「小さな生業がつなぐ地域おこしと地球環境」と題する研究会を行なった。これまでの研究成果を、単著書『民族境界の歴史生態学―カメルーンに生きる農耕民と狩猟採集民』(京都大学学事術出版会、2016年3月刊行)にまとめて出版したほか、和文の学術論文2本を出版し、共著の報告書に論考3本を寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続調査地での現地調査は、1週間足らずと不十分であったが個別テーマについては手堅い資料を集め、複数の学会で発表することができた。また、単著書をまとめる過程で、狩猟採集社会における遅延報酬の受容について理論的に検討を進めることができた。国内で他地域との比較を趣旨とした研究会を行ない、カメルーンの事例のグローバルな位置づけの検討を行なうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は最終年度であるので、得られた資料の解析を進め、順次成果を出版してゆく予定である。一方で、現地において数週間程度のまとまったフィールドワークを行なって不足している部分(遅延報酬の認知の個人差)に関する資料収集を行なう。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国際会議への参加が取りやめとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度開催予定であり、すでに発表論文が受理されている別の国際会議に参加する。
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