2015 Fiscal Year Research-status Report
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26870307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 裕 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (50596252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サービスエンカウンター / 顧客インタラクション / エスノメソドロジー / 闘争としてのサービス / サービスの文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度に計画を前倒しして出版した『「闘争」としてのサービス: 顧客インタラクションの研究』(中央経済社)の内容をさらに発展させ、個別の理論的貢献を明確にすることで、ジャーナルに論文を掲載することができた(日本語は『組織科学』、英語は『Journal of Management Studies』に各1編ずつ、また『Organization Studies』には採択が決定している)。これらの論文では、組織論におけるルーチン理論や組織化論の文脈に乗せて、エスノメソドロジーの観点から相互反映性(reflexivity)の概念を導入している。この研究は、一貫して重要なジャーナルに採択されていることから、独自の研究の流れとして確立することができたと言える。 また27年度は研究成果を発信する活動も充実していた。 6月には、TEDxKyotoUniversityで、闘争としてのサービスに関する講演を行い、映像で世界中に発信し、サービス研究のコミュニティでそれなりの反響があった。この内容をさらに発展させ、『「闘争」としてのサービス』の内容をそのまま授業にする形で、2016年1月から8週間、大規模オープンオンライン講義(MOOC)「Culture of Services: New Perspective on Customer Relations」を発信した。このMOOCには世界各国から2,915名の受講者が集まった。 サービスに関する独自の理論をさらに応用し、サービスデザインの理論と方法論にも取り組んでいる。サービスデザインの方法論を批判的に発展させ、その人間中心設計の枠組みを乗り越え、人間脱中心設計という考え方を提唱するに至った。学会発表や論文によって発表しつつある(『マーケティングジャーナル』など)。 本研究をさらに発展させるために、新しいデータの収集も始めた。特に、アパレルストア、バーなどを対象にして、顧客とのインタラクションをビデオに記録し分析している(学会発表を行っている)。さらには、今後海外のデータを収集し、比較するための準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き前倒しをして、本来最終年度に計画していた研究を英語で発表する実績を積んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、英語での論文の投稿を増やすことで、成果を発信していく。また、この研究を発展させるために、国際的な共同研究を進め、海外でのデータ収集と分析、そして異なる文化のサービスとの比較を通した、さらに一般化したサービス理論の提案を行う。具体的には、本課題を基課題として採択された国際共同研究加速基金を活用し、フランス、デンマーク、米国、シンガポールの研究者と共同研究し、海外のデータを収集し分析する。それにより、これまで日本のサービスを対象に構築してきた理論が、どのように他の文化のサービスのデータに適用できるのか、そしてその結果としてどのように理論を修正していくのかを検討する。その上で、『「闘争」としてのサービス』を発展させ、英語での単著の準備を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度に予定していたデータ収集を前倒しした関係で、27年度は若干の調査費用に余裕ができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画を前倒しにしたことにより、英文での論文投稿を増加・加速させることから、論文校閲費用が膨らむ予定である。また海外の研究者との共同研究も進めており、旅費が膨らむ予定である。
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Research Products
(15 results)