2016 Fiscal Year Annual Research Report
Ethnomethodological Research on Customer Interactions
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26870307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 裕 京都大学, 経営管理大学院, 准教授 (50596252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サービスエンカウンター / エスノメソドロジー / 顧客インタラクション / サービスの文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファストフード、イタリアンレストランなどのサービス現場での経験的なエスノメソドロジー調査を実施した。ビデオカメラを設置し、主に提供者と客の間の相互行為を記録し、詳細に分析した。分析によりサービスの実践が、顧客満足度、サービス品質、期待不一致などの従来のサービス理論で説明される枠組みでは捉えることができないことがわかり、主観性ではなく相互主観性をキーワードとした新しい枠組みを構築した。具体的には、サービスは顧客と共創される限りにおいて、主体である顧客が客体としてのサービスを評価し、価値を認識するという枠組みは利用できない。顧客も客体としてのサービスに含まれており、つまり主客が分離できず、そこではその顧客がどういう人なのかという顧客自体の価値も問題となる。また近年注目を集めるサービスデザインの文脈では、サービスデザインが主観性を前提とした人間中心設計を踏襲していることを批判的に乗り越え、相互主観性に基づく人間〈脱〉中心設計を提唱した。また組織論の文脈では、サービスのやりとりがルーチンとして達成されるにあたって、ルーチンとは人々が同じ理解を共有するからルーチンとなるのではなく、顧客と提供者の理解の食い違いがルーチンに内在的であり、その食い違いを利用しながら遂行的にルーチンとして仕立て上げる方法を記述し議論した。組織論の文脈でトップランクのジャーナルに掲載されると共に、サービス研究においても領域の中心的となるHandbookなどに掲載が決まっている。その他日本語でも、単著として発表すると共に、サービス学会などの場で発表している。さらにこの研究を情報発信するため、京都大学の大規模オープンオンライン授業(MOOC)として提供している。またこの研究を基に、コペンハーゲンビジネススクール、シンガポール南洋理工大学、パリESSEC、バーゼル大学などと協業を開始している。
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