2014 Fiscal Year Research-status Report
テトランドリンをバイオプローブとしたオートファジー経路による脂肪滴分解機構の解明
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26870309
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮前 友策 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (30610240)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オートファジー / 脂肪滴 / テトランドリン / 標的分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
テトランドリン(Tet)は、オートファジー・リソソーム経路により脂肪滴が分解される現象「リポファジー」を制御する小分子化合物である。本研究では、Tetをバイオプローブとして、その標的分子を解明するとともに、リポファジーによる脂肪滴の分解過程、並びにその生理機能を明らかにすることを目的とした。平成26年度は、標的分子同定に用いるための分子プローブの合成を行った。研究計画調書では、約25段階からなる本分子の全合成を予定していたが、標的分子解明には多くの研究時間を要することを見越し、類縁化合物を用いて合成段階を極力簡略化する方針に変更した。すなわち、Tetのジアステレオマーであるイソテトランドリン(Isotet)がTetと同一の活性強度、活性フェノタイプを示すことに着目し、IsotetをTetの”surrogate”とすることにより、Isotetの標的分子を同定した後、Tetがその分子を同じく標的とするか検証を行う方針を立案した。Isotetのアフィニティ精製ツールへの固定化は、Isotetのメトキシ基が一つだけ水酸基に置き換わった類縁体ベルバミン(Ber)を利用した。具体的には5-hexynoic acidを酸クロライド化した後、Berの水酸基にエステル結合させ、Berのアルキン付加体をわずか2段階で得ることができた。このアルキン付加体は、Tet及びIsotetと同一の活性フェノタイプを示すことを確認した。アルキン付加体をアジド化ナノ磁気製ビーズにconjugateし、細胞質及び膜画分、並びに全細胞抽出液を用いて、結合タンパク質のアフィニティ精製を行った。精製したタンパク質をSDS-PAGEで分離後、LC-FT-MS解析によりタンパク質の同定を行った。その結果、数種類の結合タンパク質の同定に成功した。平成27年度はこれらのタンパク質が、真にTetの活性に関与するか検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、平成26年度は、テトランドリンのアルキン付加体の全合成のみを計画していたが、テトランドリンのアルキン付加体に代替する分子プローブを2段階の化学誘導反応により簡便に取得して利用する方針を着想、実施できたため、結合タンパク質のアフィニティ精製まで研究を進めることが出来た。そのため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、精製された結合タンパク質が真にイソテトランドリン及びテトランドリンの標的分子となるか、検討を行う。各タンパク質に対する特異的抗体を用いて再現性を確認するとともに、標的分子のsiRNAによるノックダウン細胞を樹立し、活性フェノタイプが再現されるか検証する。結合タンパク質がテトランドリンの活性に関与しないと判断された場合、オートファゴソームとリソソームの融合に重要な役割を果たすことが知られるStx17に着目した生化学的解析により作用点、標的分子の検証を行う。具体的には、Stx17とそのパートナータンパク質であるSNAP29、VAMP8との結合がテトランドリン処理により変化するか、免疫沈降法やin vitroプルダウンアッセイにより検証する。これらの解析を通じて標的分子が同定できた場合、脂肪滴分解過程における標的分子の役割を、脂肪滴表面タンパク質であるペリリピンに着目して解析する。さらに、肝硬変の成因である「肝線維化」に着目し、リポファジーが関与すると考えられる疾患における創薬への応用可能性を検証する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Cooperative activation of PPARgamma by combination of irreversible antagonist and partial agonists: implication for novel activation mechanism based on covalent modification2014
Author(s)
Yusaku Miyamae, Anna Ohtera, Kotaro Yoshida, Toru Akita, Kazuhiro Maejima, Akira Kakizuka, Kazuhiro Irie, Seiji Masuda, Taiho Kambe, Masaya Nagao
Organizer
International Chemical Biology Society, 3rd annual meeting
Place of Presentation
サンフランシスコ
Year and Date
2014-11-17 – 2014-11-19
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