2014 Fiscal Year Research-status Report
有機薄膜太陽電池の高効率化を指向した固体NMR法によるバルクへテロ構造解析
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26870317
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福島 達也 京都大学, 化学研究所, 助教 (70705392)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 固体NMR / バルクへテロ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題で取り組む有機薄膜太陽電池は、エネルギー資源問題を解決する手段の一つとして期待され、その特性向上に向けた研究が活発に行われている。しかし、その実用化の礎となる有機太陽電池の基礎科学は未開拓の部分が多い。有機膜内のバルクへテロ構造と呼ばれるドナー・アクセプター混合状態をナノスケールで明らかにすることは、光電変換特性を理解する上で非常に重要である。本研究では、応募者がこれまで研究を行ってきた固体核磁気共鳴(NMR)法を用いて、変換効率の高い混合系のサブ nm から数十 nm オーダーにおけるバルクへテロ構造を詳細に解析し、その構造と特性の相関解明、およびそれに基づく変換効率向上を目指す。昨年度は、次の検討を行った。まず、ドナー材料としては、DTS(FBTTh2)2、アクセプター材料としては、PC71BMを用いた。ドナー・アクセプター混合系からなるバルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池の作製と評価を行った。その際、素子作製時における溶液の撹拌条件・添加剤・熱処理、活性層膜厚・バッファー層に関する詳細な検討を行った。その結果、ある特定の作製条件、素子構造において、大幅な光電変換特性の向上が見られた。また、固体NMR法による膜内構造解析にもすでに着手しており、本課題の混合系にも有用であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部、研究計画の変更を行ったが、おおむね順調に研究が進展している。溶液の撹拌条件、添加剤、熱処理、素子構造に関しては、検討してみないと分からない部分が多いが、ある特定の条件において、光電変換特性の向上が確認された。当初の予定通りに、作製プロセスと光電変換特性の相関が明らかになったことから、研究がおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、順調に研究が進展しており、今年度も現状の形で研究を進める。本課題で用いるドナー・アクセプター混合系においても、固体NMR法による膜内構造解析の有用性が確認されたことから、今年度は同法を中心とした構造解析を行う。さらに研究を進め、作製プロセス―バルクヘテロ構造―光電変換特性の一連の相関解明を行い、高変換効率発現の原理を明らかにしていく。研究計画の変更に関して、当初の予定では、解析用サンプル作製にスピンコート法を用いる予定であったが、必要なサンプル量、材料利用効率、金額面等の、種々の検討の結果、スキージ法で進める方向に変更した。
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