2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Corporate Interests of Myanmar's Military in Political Transition
Project/Area Number |
26870318
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 嘉宏 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (80452366)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミャンマー / ビルマ / 国軍 / 政軍関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
1962年から約50年にわたって軍事政権にあったミャンマーでは、2011年3月に民政移管が起き、その後の新政権のもとで政治的自由化と限定的ながら民主的な政治改革が進んだ。本研究は、ミャンマーにおける自由化、民主化と国軍の組織的利益との関係を、安全保障政策と政治志向の2点から考察し、同国の体制移行の行方を検討するものである。本年度は昨年度の総選挙の分析結果をまとめて出版するとともに(長田紀之・中西嘉宏・工藤年博『ミャンマー2015年総選挙-アウンサンスーチー新政権はいかに誕生したのか-』アジア経済研究所, 2016)、ミャンマーから政党関係者を招聘して2016年3月からはじまった国民民主連盟(NLD)新政権の実態を知るために現地から党幹部を招聘して集中的なインタビューとディスカッションを行った。新政権は長く軍事政権下で弾圧されてきた政党であるために、国軍の政治的役割には多くの党員が否定的であるものの、党の議長であるアウンサンスーチーがそうした声をおさえながら国軍と協調姿勢をとっていることがわかった。こうした調査結果を踏まえ、さらに同国の3つの憲法(1947年憲法、1974年憲法、2008年憲法)の内容と制定過程を踏まえながら、独立後のミャンマーの憲政史のなかに現在の国軍の役割を位置づける論考の草稿を、来年度の出版に向けて執筆した。また、本研究の成果を他国と比較しながら、東南アジア地域研究に関する教科書で「政治と軍」についての章を執筆した(中西嘉宏「政治と軍」山本信人編『東南アジア地域研究入門3 政治』慶應義塾大学出版会, 2017)。なお、本研究課題は、さらに昨年度末から国際共同研究加速基金を得て、ミャンマーのヤンゴン大学との共同研究に発展している。
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