2015 Fiscal Year Research-status Report
突然変異による概日リズムのゆらぎがイネの光合成能力および生産性に及ぼす効果の検証
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26870319
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 大樹 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10536238)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 概日リズム / 突然変異 / イネ / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
概日リズムは、24時間周期をもつ植物の体内時計であり、様々な生理現象の制御に関与し、外的環境刺激に同調するリズムを生み出す。外的環境刺激の中でも光の明暗周期は、植物の生長に不可欠な光合成に深く関わる。光合成の概日リズムによる明暗周期への同調は植物の適応度(生存・繁殖能力)に影響を及ぼす。本研究は、突然変異によってイネの概日リズム変異個体を作出し、圃場における光合成能力の変化と生産性の増減を調査することで、突然変異による概日リズムのゆらぎが光合成能力に与える影響を検証し、生産性向上に寄与する知見を得ることを目的とした。 トランスポゾンmPingは銀坊主において活発な転移活性をもつ。新たに挿入したmPingによって遺伝子破壊あるいは転写調節領域の改変が生じることが明らかにされている。品種銀坊主由来の自殖系統において、多様な新規挿入をもつ逆遺伝学解析集団(Spontaneous Transposition of an Active rice transposable element mPing: STAmPing line)を用い、各個体が有するmPingの隣接サイトを次世代シーケンサーで解読し、それぞれの個体が有する特異的なmPing挿入位置を特定した結果、イネの概日リズム制御に関わると考えられる候補遺伝子のエキソン内にmPingが挿入した系統を作出した。 ルシフェラーゼ生物発光を利用した概日リズムを調査する実験系の確立に取り組み、OsCab1RならびにOsPRR1プロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子とを合成したコンストラクトを形質転換し、組換え植物体を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、①概日リズム観測システムの開発と②概日リズム変異系統の作出ならびに③ルシフェラーゼ生物発光を利用した概日リズム調査実験系の確立に取り組んだ。これらのうち、概日リズム変異系統の作出ならびに概日リズム調査実験系の確立については概ね順調に目標を達成できた。一方、概日リズム観測システムの開発については、測定機器を調達し、調査に向けた調整を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、概日リズム観測システムの開発において、幼葉鞘の回旋運動を観測する装置のにおける近赤外線カメラの選定を早期に実施し、自動観測システムを構築する。また、ルシフェラーゼ生物発光を利用した概日リズム調査実験系も平行して取り組み、確実に概日リズム測定を実施できる体制を整える。STAmPing Lineから得られたmPing挿入系統を用いて、圃場における光合成能力の調査を実施するともに、生産性についても比較する。
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