2014 Fiscal Year Research-status Report
物産・商品陳列所の建築と立地環境の変容に関する研究:都市経営上の役割に着目して
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26870323
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
三宅 拓也 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (40721361)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 建築史 / 都市史 / 陳列所 / 博物館 / 美術館 / 大名庭園 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3年間の研究期間の初年度として、公園や城址などの特定の領域内で物産陳列所や商品陳列所(以下、〈陳列所〉という)を移転させた事例(とりわけ石川県と京都府の事例)について調査を進めた。比較対象となる事例の把握にも努め、合わせて史料蒐集を行い、個別事例についての分析と並行して全体的な状況の把握に努めた。いずれについても、国立国会図書館や地方公共図書館、大学図書館等が所蔵する史料を閲覧するとともに、古書として流通している〈陳列所〉刊行物の蒐集し、情報の蓄積を進めている。 これまでの研究では主に〈陳列所〉による出版物を用いてきたが、当時の新聞や、商工業や都市イベントなどに関する史料から、各都市における〈陳列所〉の展開と背後にある行政の方針や社会情勢との局所的な関わりが確認できた。しかしながら、政策としての長期的かつ直接的な関係性を立証するには至っていないため、今後は公文書や議会録等のさらなる蒐集を進め、行政側の動きを幅広く捉えた分析を心がけたい。 国際的な比較史的所見を得ることを目的に計画したフィラデルフィア・コマーシャル・ミュージアムについての調査は、現地調査を効率的に進めるための国内所蔵史料の調査を先行して進めた。本年度予定していた現地調査は史料所蔵先との連絡に時間を要したため見送ったが、国内所蔵史料の分析と現地研究者の協力を得た上で、平成27年度中に実施する予定である。 以上のように、テーマとして掲げた個別事例についての所見の蓄積が進んでいるものの横断的な分析は今後の課題となる。次年度以後、本年度に得られた成果と新たに蒐集する史料から得られる知見を整理し、論考としてまとめていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通り進展しているため。海外事例の現地調査は次年度に見送ったものの、先行して実施した国内で閲覧できる関連史料の蒐集によって効率的に現地調査を実施できる準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以後は行政文書や議事録などを重点的に調査するとともに、個別事例の調査を踏まえた横断的な視点からの分析を心がけたい。 本年度計画していたフィラデルフィアへの現地調査は、より良い体制が整う次年度以後に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度計画していたフィラデルフィアへの現地調査を見送り、次年度以後に実施することとしたため。現地調査を円滑に進めるため、先行して国内史料の調査と現地協力者との連絡を進めることを重点的に行った結果、より効率的な現地調査を実施するために調査時期を繰り下げた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に予定していたフィラフェデルフィアへの現地調査を、平成27年度以後に実施する。
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