2014 Fiscal Year Research-status Report
広域分散仮想化環境のためのハイブリッド型トラフィックエンジニアリング手法の研究
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26870325
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏崎 礼生 大阪大学, 情報推進機構, 助教 (80422004)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 安全システム / ディペンダブルネットワーク / 適応的経路制御 / トラフィックエンジニアリング / IPネットワーク / オーバーレイネットワーク / 災害対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
拠点間が複数の回線によって接続されている環境で広域分散システムを動作させる場合において、回線障害によりシステムの一部が孤立してしまいシステム全体が停止してしまうことをスプリットブレイン問題と呼ぶ。本研究では複数の回線を有効に利活用し、災害によるネットワーク障害や輻輳に対して迂回路への高速な経路切り替えを実現し、高効率でディペンダブルな (障害発生時でも生き延びる) 回線活用方式を評価し提案する。 平成26年度においてはクラウドコンピューティングを用いた中央集権型経路制御手法と、自律分散型経路制御手法を組み合わせた回線活用方式を提案した。この手法は単なる概念実証ではなく、xFlowとOpenFlowの仕様に準拠することを前提にしており、これらのプロトコルに対応した機器に実装することが可能な方式である。提案手法は高いスループットでかつ粒度の細かいトラフィック要求の分配を実現する。 変動し続けるトラフィック要求に対して適応的に振る舞う回線活用方式をここでは適応的 TE (Traffic Engineering) と呼ぶ。適応的 TE を実現するためには、経路制御ルーターに流入するトラフィック要求の内容を計測する必要がある。しかしトラフィック要求を構成する全てのパケットをキャプチャして計測する場合、トラフィック要求量が増大するにつれてトラフィック要求の内容計測に要する計算機資源と負荷が無視出来なくなる。適応的 TE を実現するためには流入するトラフィック要求の一部の統計情報のみである点に着目し、トラフィック要求量の増大による計測負荷の増大を軽減することのできるxFlow技術を採用している。 また、実際の自然災害時に提案手法が有効に機能するかを検証・評価するための「耐災害性・耐障害性検証・評価・反映プラットフォーム」を開発し、構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画目標にあるハイブリッド型の適応的 TE の設計と提案を行ったほか、単に障害を迂回するだけの適応的 TE であることに甘んじることなく、研究のそもそもの目的である「災害による」ネットワーク障害とは何かという点に踏み込む成果を数多く生み出すことができた。 災害は同時多発的に、空間的・時間的な広がりをもって発生する障害の群れであり、発生する障害も多様性に富む。本提案手法に限らず、広域分散システムが耐障害性のみならず「耐災害性」を謳う時は、前述のような多様な障害が広範囲かつ長期間に渡って発生する災害に対して耐性を有することを検証・評価される必要があると考えた。そこでSDN技術を用いて擬似的な災害を発生させることにより災害訓練を行うためのプラットフォームである「DESTCloud」(Disaster Emulation and Simulation Testbed for distributed systems such as Cloud computing environment) を開発した。このプラットフォームは本提案でも対象とする「広域分散型の仮想化環境」である distcloud の耐災害性を検証することを目的として開発されたが、この開発の途上において distcloud を支えるバックボーンである適応的 TE 網もまた検証・評価することができることが明らかになった。 このような成果により平成27年度以降は提案手法の実装と実ネットワークを用いた評価実験を円滑に進捗させることができるようになっただけでなく、耐災害性を有することを定量的に示すための評価基準を用意することができた。 評価計算のための計算機資源として、平成27年度は北海道大学情報基盤センター共同研究、国立情報学研究所共同研究、およびHPCIシステム利用研究課題により2400コア・月の仮想計算機と240コア・月の物理サーバを確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては当初の予定通りシミュレーションによる評価実験と実ネットワークを用いた評価実験を行う。平成26年度で広域分散仮想化基盤はJGN-XとSINET4の双方に接続できる環境となったが、現時点ではJGN-XとSINET4のどちらかを排他的に利用することができる状態であり、またその切り替えも手動である。これをソフトウェアにより切り替えすることが可能な状態とし、JGN-XとSINET4のマルチホーミングを目指す。 またTCP/UDP混在トラフィック要求に対する問題解決については、早期の解決が実現できるようであれば平成28年度の実施課題であった実装にも着手することを想定している。そうすることにより平成28年度はアウトリーチと可視化により注力することが出来る。
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[Presentation] 広域分散仮想化環境 distcloud の現状と今後2014
Author(s)
柏崎 礼生, 近堂 徹, 北口 善明, 市川 昊平, 中川 郁夫, 阿部 俊二, 横山 重俊, 下條 真司
Organizer
広帯域ネットワーク利用に関するワークショップ(ADVNET2014)
Place of Presentation
グランフロント大阪タワーB 10F ナレッジキャピタルカンファレンスルーム (大阪府)
Year and Date
2014-10-07 – 2014-10-07
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