2015 Fiscal Year Research-status Report
脊椎構造の機械的特性が生み出す歩容の多様性の実験的数理的解析
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26870337
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 靖博 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70402972)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 受動的動歩行 / 脊椎構造 / 粘弾性 / 揺動運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度では計画通り,昨年度作成した脊椎構造を持つ多脚型受動的動歩行ロボットを用いた歩行実験(サブテーマ①-1)を行うとともに,脊椎構造が持つ機械的特性が果たす役割についての数理的解析(サブテーマ②)に着手した.具体的には,昨年度作成した脊椎構造部分や歩行ロボットを改良しつつ継続して実験を行うとともに,理論的解析については,シンプルな振動子系でロボットが見せる運動をモデル化し,その理論的解析を行ってきた.その結果,脊椎構造が持つ特性が実現される歩容に様々な影響を与えることが明らかになってきた.さらに,それまでの成果を受けて,脊椎構造にアクチュエータを埋め込み,それによって歩行を実現させようとする歩行ロボットも作成し,歩行実験を行ってきた(サブテーマ③「理論解析の妥当性を検証するための歩行ロボット(検証機 2)作成及び歩行実験」に相当).大きな結果としては,脊椎構造に加え脚に非対称構造を加えることで,歩容に様々な変化を生み出すことも明らかにした点と,脊椎構造にて駆動する場合,身体構造によって歩容が異なること,そしてその変化の様子が生物に類似している結果を得られたことである.以上の成果は,国際学会にて一件発表を行い,さらに査読有りの国際学会に現在一件投稿中である.
また,対象としている受動的歩行が揺動を強く利用した歩行であるため,揺動による受動的動歩行に関する理論解析もすすめてきた.まず,昨年度投稿中だった,揺動を励振することで平地歩行を実現する準受動的動歩行の一制御方策についての論文については無事採択掲載された.また,新たな歩行ロボットを作成し,歩行実験を行った.大きな結果としては,2つの周期入力の位相差にも関わらず,入力の振幅を大きくすると歩容が変化することを見いだした.本結果については,査読有りの国際学会に投稿し採択され,H28年度に発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画での実施スケジュール案では,27年度は,「脊椎構造を持つ多脚型受動的動歩行ロボット(検証機1)の作成及び多様な歩容を発現させることができるかについての歩行実験(検証実験 1)」を終わらせ,「脊椎構造が持つ機械的特性が果たす役割についての数理的解析」及び「理論解析の妥当性を検証するための歩行ロボット(検証機 2)作成及び歩行実験」に着手することがが主な実施内容であった.
研究実績で述べたように,「脊椎構造を持つ多脚型受動的動歩行ロボットの作成及び歩行実験」については順調に研究を進められていると考えられる.また,少し先行することにはなるが「理論解析の妥当性を検証するための歩行ロボット(検証機 2)作成及び歩行実験」についても順調に研究を進められていると考えられる.従って,実機作成やそれを用いた歩行実験についてはかなり順調に進んでおり,スケジュールより早く進んでいると考えている.一方で,実機作成や歩行実験が順調な分,理論的解析については,着手し研究も進んではいるが,明確な大きな成果を出すまでには至っていない.よって,総合的には,「おおむね順調に進展している」という自己評価を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
26,27年度の実施内容は「おおむね順調に進展している」と考えられるため,28年度は研究計画での実施スケジュール案どおり,まずはサブテーマ②となる「脊椎構造が持つ機械的特性が果たす役割についての数理的解析」を少しの遅れを取り戻すべく注力して推進していく予定である.その成果を受けて,さらにサブテーマ③でとなる「理論解析の妥当性を検証するための歩行ロボット(検証機 2)作成及び歩行実験」を引き続いて行っていく.ただし,現在までの達成度の項で述べたように,実機作成やそれを用いた歩行実験についてはかなり順調に進んでおり,成果も出ているため,その結果については先行して論文にまとめ投稿していくことも並行して行っていく.
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Causes of Carryover |
購入を予定していた電子部品が,在庫無しで購入出来なかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
在庫が復活し次第,該当部品を購入する予定
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