2015 Fiscal Year Research-status Report
東アジアで受容される日本の女性向けポピュラーカルチャーが示す男性像の実証的研究
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26870349
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 園子 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (40581301)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポピュラーカルチャー / ジェンダー / 男性性 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本のみならず東アジア圏に愛好者が存在する少女マンガ・男性アイドル・宝塚歌劇という日本の女性向けポピュラーカルチャーで共通して示される男性像の特徴と、それが愛好される社会的背景を受容調査によって明らかにする。そこから、従来理想とされた“一家の大黒柱”という男性性(masculinity)の実現可能性が低下してきた現代社会における、女性を抑圧せず男性にとっても魅力的な、新たな理想的男性像を探求することを目的とする。 本年度は、関連文献・資料を収集・整理するとともに、台湾で現地の宝塚ファン・演劇関係者へのインタビュー調査と第2回宝塚歌劇台湾公演に関する参与観察調査を主に行った。その成果の一部を発表したものとして、日本マス・コミュニケーション学会2015年度秋季研究発表大会ワークショップでの「ホモソーシャリティ再考――『宝塚・やおい、愛の読み替え』で残された課題についての試論」、中部人間学会第15回大会での「台湾から見た宝塚歌劇――歌仔戯関係者の視点から」という報告がある。前者では、台湾の宝塚ファンたちが国境を越えてファン仲間を作っている様子を紹介した。後者では、歌仔戯という女性が男性を演じる台湾の演劇の関係者から見た、宝塚歌劇の男役の特徴を分析した。それは、女らしさを持った男性像と、女性を脅かさない男らしさのある男性像とまとめることができる。このような男性像が日本と台湾で支持される背景として、女性的とされる性質の社会的評価が低いことや、男性中心的な価値観が浸透していることがあるのではないかと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、海外調査を実施することができるなど、研究はおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度にあたるため、必要に応じて関連文献の収集・整理を随時行いながら、これまで収集してきたデータ等の分析を進め、研究成果をまとめる作業に注力する。なお、本研究申請時の計画では、台湾のみならず韓国での調査も予定していたが、申請した予算が減額されたこともあり、台湾に絞って研究を進める方が有効だと判断したため、韓国での調査は行わない。研究成果報告については、国際学会で発表を行いたいと考えている。あわせて、国内の学会等での報告も計画している。また、論文を執筆し学術雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の途中で予期せぬ故障により急遽パソコンを購入して予算を使い切ったため、次年度の予算の前倒しの使用を10万円単位で申請したが、資料収集のための出張を都合により次年度に延期したため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、学会報告のための旅費・参加費、インタビュー調査の音声データの文字起こしの謝金、関連文献・資料収集のための費用に主に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)