2014 Fiscal Year Research-status Report
金属置換再構成Pcを用いた光化学系I-Pc複合体の精密結晶構造解析
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26870354
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河合 寿子 大阪大学, たんぱく質研究所, 特別研究員(PD) (10599228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光合成 / 光化学系I / プラストシアニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PSIとPSIを還元する蛋白質プラストシアニン(Pc)が形成する電子伝達複合体のX線結晶構造解析を行い、PSI還元メカニズムの構造基盤を解明することを目的とする。具体的には、PSI構造とPSI-Pc複合体構造を比較し、複合体形成により構築された最適な電子伝達の反応場を原子レベルで直接的に捉え、効率よくPSIを還元する構造基盤を得ることを目指している。 本年度は、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803から精製したPSI三量体の良質な結晶を得ることに成功した。まず、均質なPSI三量体結晶化サンプルを得るアプローチとして、ΔPsaK1/PsaF-His株とΔPsaK2/PsaF-His株を作製した。ΔPsaK1/PsaF-His株からPSIを精製したところ三量体が不安定化して、多くが単量体となった。そのため、ΔPsaK2/PsaF-His株を利用して約1600条件の初期結晶化スクリーニングを行った。結晶が得られた3条件に於いてpH、塩の種類と濃度、沈殿剤の濃度や結晶化温度などをさらに検討した。その結果、PEG2000を沈殿剤とする条件で厚みのある良質な結晶が得られた。その結晶を用いてX線回折実験を行ったところ、4.1Åの回折点を得ることに成功した。さらに好熱性シアノバクテリア、Thermosynechococcus elongatueのPSI構造を初期モデルとした分子置換により位相を決定した。また、Synechocystis sp. PCC 6803のPcを発現する大腸菌を用いてIPTGや銅の濃度などを検討し、発現条件を検討した。得られた蛋白質のアミノ酸シークエンスを行い、シグナル配列が切断された目的のPcであることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、最大4.1Åの回折点を与える良質なPSI三量体結晶を得ることに成功した。今後は不凍条件を検討することでさらなる分解能の向上が期待出来る。Pcの金属置換体を得るためには大量のPcを調整する必要があるが、少量のPcしか得られなかったため金属置換Pcの作製に着手出来なかった。今後は安定して大量のPcを発現する条件を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
Synechocystis sp. PCC 6803のPSI三量体結晶について、不凍剤の種類や濃度、浸透時間や方法を慎重に検討し、高分解能構造決定を行う。また金属置換再構成Pcを作製するにあたり、大量のPcを調整する。その後、AgまたはCd置換再構成Pcを作製し、PSIとの複合体結晶化スクリーニングを進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、出産及び育児のために7月から12月の6ヶ月間研究活動を停止したことで、その期間実験に使用するべき試薬など購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
良質の回折データを得るためには、多種多様な界面活性剤から目的の膜蛋白質複合体の精製及び結晶化のそれぞれに最適なものを選ぶことは必要不可欠である。また、担体やカラムなどの精製用の消耗品、蒸気拡散法に用いる結晶化グリス付きプレート、バッチ法結晶化プレート、多種多様な結晶化用試薬などの消耗品、さらに0.5mm程の結晶を顕微鏡下で回収し不凍処理を行うための特殊なループやツール、また液体窒素中で作業するトングなどの回折実験用消耗品はいずれも大変高価であるが、本研究を遂行するためには必須のものである。また金属置換再構成Pc作製のための試薬も購入する。
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Research Products
(4 results)