2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870355
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐々木 建吾 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環 重点研究部, 特命助教 (50558301)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Bioethanol / Mechanical milling / Membrane / Saccharomyces cerevisiae / Rice straw / Sweet sorghum juice |
Outline of Annual Research Achievements |
リグノセルロース系である稲わらより、52.0g/Lのエタノール(理論的エタノール収率:73.8%)を達成しており、蒸留のコストを下げるには十分な量である。このためには、稲わらを水熱処理した後に得られる固体画分・液体画分それぞれに微粉砕・膜分離プロセスを適用している。すなわち、固体画分に対して微粉砕を行う事により酵素糖化効率を高め理論的エタノール収率を47.1%から約77%に上げる事に成功している。また、液体画分に対して開発した膜分離プロセスを施す事により糖濃度を約4.5倍に高めるとともに発酵阻害物である酸・フルフラール濃度を低レベルに抑える事により、液体画分+固体画分からのエタノール生成濃度を固体画分のみに比べて増加させる事に成功した。以上より稲わら全画分を使用して高濃度のエタノールを生成する事に成功した。また、糖質原料であるソルガム搾汁液から、窒素源を非添加の条件において132.8g/Lのエタノール(理論的エタノール収率:86.0%)を達成しており、本濃度も蒸留のコストを下げるには十分な量である。このために、ソルガム搾汁液に対して限外濾過膜(Ultrafiltration, UF膜)およびナノフィルトレーション膜(Nanofiltration膜)を使用して、植物残渣を除きつつ糖濃度を高めた。同時にアミノ酸も回収しているために、窒素源を添加する事になく高濃度のエタノール生成に成功した。以上より、膜分離プロセスを適用する事により、ソルガム搾汁液からのエタノール高濃度化、窒素源非添加を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
稲わらから達成した52.0g/Lのエタノール濃度、またソルガム搾汁液から達成した132.8g/Lのエタノール濃度は、蒸留のコストを下げるには十分な量である。微粉砕処理は酵素糖化効率を高める事は知られてはいたが、消費エネルギーが高いために実用化が遅れていた。本研究においては、微粉砕に掛かるエネルギーを0.9MJ/kg-biomassにまで抑える事に成功しており、低消費エネルギーを維持したまま酵素糖化効率を高める事に成功している。また、膜分離プロセスは比較的にコストが低いプロセスであり、バイオリファイナリー分野での適用が求められていた。本研究において膜分離プロセスの適用により、少なくとも糖質原料の一つであるソルガム搾汁液からの高濃度エタノール生産に有効である事を実証している。また、膜分離プロセスはソルガム搾汁液中のアミノ酸を回収できるために、窒素源非添加すなわち酵母・ソルガム搾汁液濃縮液のみで高濃度エタノール生成が可能である事を示し、窒素源添加のコスト減に貢献した。以上より、微粉砕・膜分離プロセスといった従来のプロセスと異なる新規のプロセスを提唱した。また、上記で得られた知見を国際誌に受理している。以上の結果より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
稲わらは主にセルロース・ヘミセルロース・リグニンから構成されているが、本研究においてセルロース・ヘミセルロースの利用について研究を進めた。今後はリグニンを効率的に回収する研究を行うつもりである。また、ソルガム搾汁液の利用について窒素源を非添加の条件において繰り返して高濃度のエタノール生成が可能であるか検証するつもりである。
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