2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者における水中運動プログラム継続が心腎連関に及ぼす影響
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26870361
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小野 くみ子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (30467667)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 水中トレッドミル歩行 / 尿中アルブミン排泄量 / 二重積 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2型糖尿病患者に対して水中運動プログラムを行うことが糖尿病合併症と深く関連する心腎連関にどのような影響を与えるかについて検討することを目的としている。研究内容に関してすでに本学保健学研究科倫理委員会において承認済みであり、現在下記の通り遂行中である。 研究課題遂行に先立ち、2型糖尿病患者(47歳男性、HbA1c9.0%)を対象に、水中トレッドミル歩行継続が循環指標に及ぼす影響について検討した。運動療法として、水位腰部(身長の約65%)、水温31℃、静止水、歩速4km/hの水中トレッドミル歩行(4Mets相当)を週1回、30分間、3ヶ月間実施した。介入前後に同歩行における漸増負荷運動によって循環指標を評価した。陸上から浸水による変化量は、介入後、心臓副交感神経系活動の指標であるHFで増大し、心拍数で低下した。介入後、4km/h歩行時の収縮期血圧は低下し、二重積は低下した。運動後の尿中アルブミン排泄量は、介入後も悪化を認めなかった。水中トレッドミル歩行運動を継続した本症例を通じて、心臓副交感神経系活動、心拍数、血圧などの循環指標を改善し、腎血流を悪化させることなく運動療法を実施できることが明らかになった。 続いて、研究課題1として、水中運動が糖尿病患者の循環および腎機能に及ぼす影響について、安静期~運動後回復期の血圧および腎機能変化について陸上運動時と比較して水中運動時にどのように影響するかについて運動前後の血糖値・血管内皮機能(FMD)・腎機能指標(UAE、β2-MG)を検討している。対象者を6名リクルートし、現在2名測定終了、他4名は遂行中である。研究課題2として、縦断的介入が及ぼす影響について検討している。対象者4名をリクルートし、現在2名介入終了、他2名は遂行中である。研究課題1・2共にさらに対象者を増やす予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、研究課題1において、対象者を15名程度リクルート予定としていたが、現在6名リクルートしている状況であり、当初予定の半数程度となっている。これは、リクルート前のプレ実験において、安定したFMD測定のため、機器ならびに検者の技術を整えることに時間を要し、結果としてリクルート時期が後ろ倒しになったことを要因として挙げることができる。一方で、平成27年度の研究計画であった縦断的介入について、すでに平成26年度中に一部平行して遂行することができており、これらの状況を総合して達成度としては「やや遅れている」に相当するものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究申請者は、平成27年5月7日より産前休暇に入り、その後引き続いて平成28年3月31日まで育児休業を取得予定である。この間、研究自体の遂行を一時的に休止せざるを得ない状況にある。 現在、研究課題1として対象者を6名リクルートし、現在2名測定終了、他4名は遂行中である。引き続きすでにリクルートしている対象者の測定を可能な限り遂行するとともに、育児休業から復帰後にさらに対象者を募る予定である。また、研究課題2として対象者4名をリクルートし、現在2名介入終了、他2名は遂行中である。引き続きすでにリクルートしている対象者の測定を可能な限り遂行するとともに、さらに対象者を募り、育児休業から復帰後に対象者数を増やして継続して研究を遂行していく予定である。 産前産後休暇ならびに育児休業取得に伴い、研究期間の延長を申請する予定としている。
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Causes of Carryover |
先に述べたように、対象者リクルート前のプレ実験において、安定したFMD測定のため、機器ならびに検者の技術を整えることに時間を要し、結果としてリクルート時期が後ろ倒しになったことを要因として挙げることができる。このことから、検体の委託費ならびに対象者および検者への謝金の利用が予算計画よりも少なくなったものと言える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、昨年度から今年度と年次をまたいで同じ対象者の測定を継続しており、「次年度使用額」の2,076円に関してはすでに使用済みである。また、やや計画より研究の遂行に関して遅れているものの、5月上旬までは継続して測定を行っていく予定である。 一方で、すでに産前産後休暇・育児休業の取得を予定しており、今年度使用計画分の予算については大幅に使用できないものと言える。平成28年度以降復帰した際に計画的に使用していくものとする。
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