2015 Fiscal Year Research-status Report
認知機能の変化に伴う高齢ドライバーの運転挙動及び運転補償に関する実証的研究
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26870365
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太子 のぞみ 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70632462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高齢ドライバー / 運転 / 意思決定 / 補償 / 認知機能 / リスク認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,加齢による変化に着目して,高齢ドライバーの認知機能,運転挙動,補償方略の三者間の関係性を明らかにすることを目的とした。さらに,高齢ドライバーの運転中止・継続の意思決定について明らかにすることを目的とした。 まず高齢者が走行中に機能の低下を如何に補償しているかに明らかにするために,実道路環境下における実走行課題を作成し,速度を基準とした運転補償指標を算出することを目指した。認知機能に関しては,加齢に伴う機能変化を測定するために,短時間で簡便に測定可能な検査を作成した。次に高齢ドライバーの運転に関して,ベネフィットによる意思決定及びリスク認知への影響を明らかにするために,インターネット調査を実施した。医師から,病気のために自動車の運転に支障を及ぼす可能性があると告げられる場面を設定し,運転継続もしくは中止の判断を求めた。参加者は20歳から79歳の成人1248名(若年群416名,中年群416名,高齢群416名)であった。その結果,年齢にかかわらずベネフィットによって意思決定が変わるが,高齢者の方が運転中止を選択すること,運転頻度が高いシナリオの場合にリスクを低く見積もるというように,ベネフィットによってリスク認知が歪むことが明らかになった。 さらに,随時研究会及び学会大会に参加して,当該研究に関連する最新知見を得ると共に,研究に関する意見交換を行った。また成果について発表を行い,質疑応答を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運転補償指標について,実運転環境下で測定可能な指標の選定を行い,教示によって区別できる可能性が示唆された.認知機能と関連付けて,今後検討を深めていく必要性がある.また,高齢ドライバーの運転中止・継続の意思決定に関して,年齢群による違いを明らかにでき,今後縦断研究を行う必要性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策 加齢による変化に着目して,高齢ドライバーの認知機能,運転挙動,補償方略の三者間の関係性をより明らかにしていくために,実運転環境下において一時停止交差点の運転挙動を測定,通常条件と補償条件での行動の差異を検討,それらと認知機能検査得点との関係性を分析していく.また,高齢ドライバーの運転中止の判断に影響を与える要因に関しては調査を行うことで知見を得る。
次年度の研究費の使用計画 実験実施に必要な謝金,実験用機材・消耗品,調査費,成果発表のための旅費に研究費を利用する.
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Causes of Carryover |
購入予定の物品のうち一部,今年度に購入する必要がなくなったため,未使用が発生した。また,謝金に関して,実験参加の謝金としての使用ではなく,調査参加として調査会社に支払うこととなり,差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には,若年ドライバー及び高齢ドライバーを対象とした実験実施のため,必要物品,謝金が必要となる。また,20代から70代までを対照としたインターネット調査を実施するため,その他費用が必要となる。
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Research Products
(7 results)