2014 Fiscal Year Research-status Report
スタンダールにみる19世紀美術批評の様相と文学と絵画の影響関係
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26870366
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 亜美 神戸大学, 人文学研究科, 研究員 (90597311)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スタンダール |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は研究実施計画に従って、主にスタンダールの『サロン評』研究を行った。『サロン評』には、現代ではあまり知られていない19世紀前半に活躍した画家たちへの言及が非常に多い。そのため、スタンダールがしばしば言及している画家たちを中心に、各画家に対するスタンダールの見解を、同時代の他の美術批評家や現代の解釈を参照しつつ整理した。この分析は、スタンダールの美術批評に関する今後の研究の効率化を助けるとともに、それ自体も資料的価値を充分に持ちうるものであると考えている。なお、この分析の成果は研究ノート「スタンダール『1824年のサロン』- アリ・シェフェールを中心に -」として、神戸大学仏語仏文学研究会発刊の研究誌『EBOK』第27号(2015年発刊予定)に掲載の予定である(掲載未確定として次頁「雑誌論文」に詳細を記載)。 また、当該年度には科研費による出張を行い、日本フランス語フランス文学会春季大会(於お茶の水女子大学)に参加することを得た。この大会にはスタンダール研究者としても著名なフランス人教授が招聘されており、非常に有益なお話をうかがうことができたのは貴重な経験であったことも付言したい。 さらに、当該年度中には、スタンダールの小説『リュシアン・ルーヴェン』と『緑の猟人』にフランス絵画を含めた絵画性の問題を絡めた論文を執筆し、2015年秋に発刊予定のフランスのスタンダール専門誌に投稿した(掲載確定。詳細は次頁「雑誌論文」に記載の内容を参照頂きたい)。また、スタンダールと絵画に関する研究成果発表のため、科研費の研究成果後悔促進費の申請も行った。これについては不採択となったが、再申請を含め、今後の方針を検討していきたい考えである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年12月頃に平成27年度4月からの異動(神戸大学人文学研究科研究員から京都女子大学専任講師へ)が決定し、異動に伴う手続き等の必要性から予定していた出張のいくつかが行えなくなった。とりわけ、昨年度末頃(3月頃)に予定していた海外出張を行えなかったのは痛手である。そのため、当初の目標と比べるとやや研究の達成度に遅れを認めざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度4月からの所属先である京都女子大学図書館には、本研究課題を進めていくうえで不可欠な書籍等が不足気味であるため、必要な書籍を順次科研費で購入させて頂きたいと考えている。 さらに、前項目で述べた理由で昨年度には行えなかった、本研究課題推進のために必要な海外出張を夏期に行って、研究課題の達成を図りたい。
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Causes of Carryover |
平成27年4月に異動となることが昨年12月頃に決まったため、それに伴う手続き等の関係で時間が作れず、予定していた出張のいくつかが行えなかった。特に、昨年度末(3月頃)に予定していた海外出張が不可能になったことが大きい。また、異動の可能性が生じた時点で、必要書籍の購入は出来る限り新所属先で行いたいと考え、当面の購入を控えることとした。異動に伴う以上のような理由で、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新所属先では、研究に必要な書籍が不足気味であるため、まずは必要書籍の購入に充てる。さらに、昨年度行えなかった分とあわせて、国内外の出張費用にも充てたい。
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