2015 Fiscal Year Annual Research Report
スタンダールにみる19世紀美術批評の様相と文学と絵画の影響関係
Project/Area Number |
26870366
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
小林 亜美 京都女子大学, 文学部, 講師 (90597311)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | スタンダール / 19世紀フランス絵画 / 絵画サロン / 古典主義 / ロマン主義 / 文学と絵画 |
Outline of Annual Research Achievements |
スタンダールにおける19世紀前半のフランス画壇評と作家の創作活動との影響関係を探るべく、研究期間中には主としてスタンダールによる絵画サロン評のひとつ「1824年のサロン」を研究分析。同評論中で言及される膨大な数の画家たちのうち、スタンダールが特に重要視していると思われる者たちについて詳細に分析を行った。それらの画家たちの多くは当時の名声に比して現在ではあまり知られておらず、資料調査のための渡仏が必要であった。平成27年夏に科研費によるフランス出張を行い、美術館や併設資料室、図書館などで調査にあたったことで研究が大いに進展することとなった。 研究期間に行った「1824年のサロン」研究により、古典派とロマン派が鎬を削っていた当時のフランス画壇および批評家たちの中でのスタンダールの全体的立場が確認できた。それは、ロマン派寄りの中庸派という立場であり、イタリアへの偏愛が冷めないままに、当時のロマン派寄りのフランス画家たちをイタリアの画家たちより優れていると認めざるを得ない、「ミラノの人」スタンダールの嘆息でもあった。 個別の画家に対するスタンダールの論評では、スタンダールにおける芸術論で最も重要な概念のひとつである「真実」が常に問題となっており、ここからは創作への結びつきが認められる。最終年度に発表した論文「スタンダールとシュネッツ ―『1824年のサロン』における「偉大なる画家」―」では、研究期間内に行った研究を総合しつつ特に創作と関わりが深いと思われる主題をとりあげており、スタンダールにおける文学と絵画の影響関係を主軸とする研究目的を達成するに至った。 なお、本研究による成果を反映させた公開講座(京都女子大学人文学会)を平成28年10月に行う計画であることを付言させて頂きたい。
|