2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870368
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
榎本 直也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50565710)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表現論 / 写像類群 / 量子群 / ヘッケ環 / 超平面配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、曲面の写像類群に付随するJohnson準同型の表現論的な理解へ向けた研究を引き続き推進するとともに、有理Cherednik代数と超平面配置に関する幾何学的/組合せ論的表現論の研究、結び目不変量とcoideal subalgebraの表現論的な関わりに関する研究にも着手した。 写像類群に関する表現論的な研究においては、Johnson余核の構造を表現論的に記述する分解公式や特別な既約表現の重複度の記述やその振る舞いについてのいくつかの結果を得て、現在、論文として執筆中である。 超平面配置に関する表現論的な研究においては、quasi-invariantやHessenberg多様体の幾何をワイル群や有理Cherednik代数の表現論の観点から解明し、新たな解釈を与えるためのいくつかの観察を得た。特にいくつかの有力な予想について、今後取り組んでいくために不可欠なものが含まれていると考えられる。 結び目不変量とcoideal subalgebraの表現論的な研究では、種々の結び目不変量とcoideal subalgebraの表現論を結びつけるためのいくつかの知見を得た。 なお、本年度は、coideal subalgebraの表現論、超平面配置とHessenberg多様体の幾何等に関していくつかの小規模な研究集会を開催して上記研究に関する情報交換を行ったほか、第二回Algebraic Lie Theory and Representation Theoryを主催し、関連する研究分野から多くの知見を得た。また、この研究集会の成果を広く社会に還元するため、報告集を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
曲面に付随する写像類群のJohnson余核に関する研究において、いくつかの具体的な表現に関する重複度公式を得た。現在それらをまとめ論文として執筆中である。 超平面配置の表現論的研究においては、ワイル群の表現論とquasi-invarinantの構造、有理Cherednik代数の表現論と超平面配置のポアンカレ多項式の関係の解明、Hessenberg多様体の幾何と組合せ論の表現論的な記述などの観点から、いくつかの具体的な知見を得た。 結び目不変量とcoideal subalgebraの表現論に関する研究では、量子群のテンソル積表現にかかわるR-行列の記述とcoideal subalgebraやskew Howe双対性とその圏論化についての研究を進め、いくつかの知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度へ向けて、引き続き写像類群、超平面配置、結び目不変量という3つの対象について、表現論的な理解を得るための研究を進める。 写像類群のJohnson余核の研究においては、トポロジーの側からの成果が報告されており、表現論側からの解釈について研究を進めたい。 超平面配置の表現論的な研究については、本年度得た知見を活用してさらに詳細な研究を進め、具体的な成果に結び付けたいと考えている。 結び目不変量とcoideal subalgebraの表現論に関する研究では、研究代表者の従来からの研究テーマである量子群とヘッケ環の表現論についても新たな知見が得られる可能性があり、それらの方向性を探りたい。
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