2015 Fiscal Year Research-status Report
大都市圏郊外地域における開発型中小製造業の形成に関する実証研究
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26870372
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
藤田 和史 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (90613216)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 産業集積 / 大都市圏郊外 / 中小製造業 |
Outline of Annual Research Achievements |
京阪神大都市圏の郊外地域に関して調査を継続しつつ,東京大都市圏における企業調査について,予備的調査を進めた. 泉州地域の開発型中小製造業の特徴については,製造業全体の規模の縮小が進む中で,一定事業を拡大してきた.泉州全体の機械工業が,1985年から2010年までの25年間で,約75%に事業所数を減少させている.出荷額でみても,2003年を底に回復傾向にあったが,2008年のリーマンショック以降の不況によりそれを下回りつつある.付加価値生産においては,全体としては低下傾向であるものの.一事業所あたりの付加価値生産は上昇しつつある. 泉州地域の開発型中小製造業では,以下の2点を課題としつつ事業転換を図って来たことが判明しつつある.1点目は,グローバル化による企業の海外移転である.メーカーの国内生産拠点は,近年世界中にある生産拠点の1つに後退しつつある.生産量の減少に直面する中で,いかに自社の特色を出し,受注を獲得するかが課題とされていた.いま1つは、属人的な技能に関する後継者不足である.機械化等の対応を図る企業がある一方で,自社技術の革新を思考する企業があった. 上記を克服するために,開発型中小製造業は以下の2点を基礎として変容を遂げたといえる.まず一つ目は,自社が保有する独自技術や高度な技術を深化させたことである.独自技術で高い占有率・広い市場を確保している.二つ目は,事業ドメインを拡大させていることである.事業ドメインの拡大にあっては,自社の持つ「強み」を生かしつつ,取引や日常の業務で培ったネットワークを活用し,外部資源を自社のものとしてきたことによるのである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来的には,昨年度で東京大都市圏の企業調査を実施する予定であったが,学内において文部科学省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の申請書の作成,採択後にはプログラム策定に係る委員を兼務したことで,参画機関や担当者との調整に多くの時間を割かれた.近隣への出張は可能であったが,遠隔地への長期出張は困難であり,進捗状況は芳しくない.
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Strategy for Future Research Activity |
京阪神については,一部の企業を取りこぼしていることから,随時それらの調査を進める必要がある.今年度は主として東京大都市圏の企業を調査対象としたいが,上記の通りCOC+事業が開始されたこともあり,今年度の授業負担が増えている.スケジュールを調整して調査を行いたいと考え邸はいるが,相手のあることであるため,研究期間の延長申請も視野に入れつつ,研究を進めたい.
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Causes of Carryover |
東京大都市圏の調査が進まなかったこと,近隣での調査に関しては旅費が使用できなかったことにより,旅費残額が大幅に超過している.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費の残額については,今年度の支出が見込まれる.
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