2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Formation of Innovative SMEs in Suburban Area
Project/Area Number |
26870372
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
藤田 和史 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (90613216)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大都市圏 / 郊外 / 開発型中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大阪の産業集積からみた「郊外」に相当する泉州地域の製造業集積の状況を概観しながら,大都市圏郊外製造業集積の現在的役割を考察するものである.あわせて,大都市圏郊外の中小製造業がいかなる変容を遂げてきたのかも考察した. 泉州地域の産業は繊維産業から機械工業など重化学工業の比重が高まっていった.現在の泉州地域は,関西空港の近隣まで工業化が進み,多数の機械工業が立地する地域へと変貌を遂げた.企業群の中には,独自技術・高技術を保有するものもあり,それらは広範な市場を獲得し,市場占有率も高い. それらの独自技術を持つ企業が存在している一方で,標準的な技術に依存する企業も存在し,京阪神地域の少数の企業とのみ取引する企業がみられる.たとえば,建機メーカーの二次下請けとして建機部品のプレス加工に従事する企業,熟練労働力に依存しつつ建機用ベアリングの生産に携わる企業や,鋼管メーカーの下請けとして手作業によるメッキラインを持つ企業などが立地している.いわば,属人的な加工技能・技術に立脚する,労働集約的な企業群が一定数残存しているといえよう.これらの企業群は,大阪都市圏に近接するという環境下で,集積の外部経済を享受してきたと考えられる.しかしながら,泉州地域の企業を活用してきた大阪都市圏のメーカーは海外への生産移管を強化しており,泉州地域の労働集約的な中小企業群も転換を余儀なくされているといえよう.
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