2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26870373
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大倉 毅 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (80510073)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / グルコースクランプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインスリン抵抗性の最も優れた評価法であるが非常に煩雑であるグルコースクランプ法と、インスリン分泌能評価法として食事負荷試験を用いて、既存のインスリン抵抗性指標よりも優れたグルコースクランプ試験結果を推定できる新規インスリン抵抗性指標を開発することである。 新規インスリン抵抗性指標開発のため、食事負荷試験とグルコースクランプ試験を2型糖尿病患者20名、非糖尿病ボランティア20名について行った。その結果、新規インスリン抵抗性指標CPR-IR=1080/(空腹時血糖×空腹時Cペプチド)はグルコースクランプ試験の結果を推定可能であり、既存の最も有名なインスリン抵抗性指標、HOMA-IRよりもグルコースクランプ試験の結果と相関が強かった。 さらに肝インスリン分解の指標として、食後Cペプチド曲面下面積/食後インスリン曲面下面積モル比を用いて検証したところ、肝インスリン分解の強い2型糖尿病患者ではHOMA-IRはグルコースクランプ試験の結果と有意な相関を認めなかったが、CPR-IRは有意な相関を認めた。この結果から、肝インスリン分解の強い2型糖尿病患者では、グルコースクランプ試験の結果とHOMA-IRの相関が低いと考えられた。新規インスリン抵抗性指標CPR-IRは肝インスリン分解の強い患者で有効と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に参加する2型糖尿病患者の食事負荷試験、グルコースクランプ試験の新規エントリーは目標の20例に到達して順調に進行している。我々の開発している新規インスリン抵抗性指標CPR-IRはHOMA-IRよりもグルコースクランプ試験の結果と良好な相関を示し、目的を十分達成しているデータである。さらに研究の途中、正常コントロールと肝インスリン分解の遺伝子について注目し、検討を進めている。また、脂質酸化産物CEL(Carboxyethyl Lysine)、CML(Carboxymethyl lysine)等のインスリン抵抗性との関連の検討も併せて行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時には2型糖尿病患者の食事負荷試験、グルコースクランプ試験を行う予定であったが、正常値の設定のために非糖尿病ボランティアに対しても同様の検査を行っており、おおむね正常値の設定も可能な状況になっている。 また、近年、亜鉛トランスポーターの機能低下により、肝インスリン分解が亢進することが報告されており、これは特に糖毒性状態で亢進しやすいと考えられている。亜鉛トランスポーターの機能低下は2型糖尿病のリスク遺伝子SLC30A8の多型により起こりやすいとされており、研究の途中で肝インスリン分解に注目し、検証したところ、肝インスリン分解の強い患者で新規インスリン抵抗性の有効性を裏付ける結果であった。そのため、肝インスリン分解に関与する遺伝子解析を追加で行うことになった。この遺伝子解析が終了した時点で論文投稿としたいため、平成27年夏ごろの試験終了を目標としている。
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Causes of Carryover |
科学研究費に加え、日本糖尿病財団から100万円、日本糖尿病協会から100万円の研究費を得ることができ、先に平成26年度内にこれらの予算を使用する必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き人工すい臓物品、食事負荷試験検査費に加え、亜鉛トランスポーター遺伝子検査費用、CEL(Carboxyethyl Lysine)、CML(Carboxymethyl lysineなど脂質酸化産物の測定などに使用する予定である。
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