2014 Fiscal Year Research-status Report
本当に重症型グルタル酸血症2型にベザフィブラートは無効か?
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26870379
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山田 健治 島根大学, 医学部, 医科医員 (70624930)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グルタル酸血症2型 / ベザフィブラート / 脂肪酸代謝異常症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は重症型グルタル酸血症2型(GA2)に対するベザフィブラート(BEZ)の有効性と、その作用機序の解明である。研究実施計画に合わせて、平成26年度は主に以下の研究・実験を行った。 1,in vitro probe(IVP)アッセイによるβ酸化能の評価 複数の重症型GA2の皮膚線維芽細胞にBEZを添加して培養したところ、いずれの細胞もIVPアッセイによる評価では脂肪酸(パルミチン酸)の代謝が改善しているような結果が得られた。また、重症型の中でも臨床的に合併奇形がなく、より軽症と思われるGA2に対しては、低濃度のBEZでも脂肪酸代謝能が改善しているような結果が得られた。重症型と考えられる患者でもgenotypeからは残存酵素活性がわずかにあると推測される症例があり、このような患者に対してはBEZがより効果的であることを示している。一方で細胞内のATP濃度を測定したところ、BEZの有無・濃度に関わらず、ATP量に変化は見られず、本当にエネルギー代謝が改善したのかは不明であった。 2,BEZが誘導、活性化している酵素は何か? BEZ投与後の脂肪酸代謝系酵素の発現量の変化をリアルタイムPCRを用いて測定した。CPT-1やPPARαなど、いくつかの脂肪酸代謝に係る酵素やプロモーターの発現強化が認められたものの、その程度はわずかであり、また、GA2の病態に直接関与する酵素の発現量は変化がなかったことから、その作用機序は未だ不明である。 なお、上記の結果の一部を、Journal of Clinical Pharmacy and Therapeuticsに現在投稿中(査読あり、謝辞あり)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した通り、平成26年度はBEZの有効性について、①IVPアッセイによる脂肪酸代謝能の評価、②ATP産生能の評価、③リアルタイムPCTを用いた誘導酵素の解明の3つを予定し、いずれも当該年度内に実験に着手できた。また、当初は平成27年度に予定していたgenotypeとBEZの有効性の関連性については上記の通り、重症型であってもgenotypeによってはBEZがより有効と考えられる症例があることが分かった。 しかし、得られた結果は当方が予想したものと一部に乖離があり、BEZの有効性およびその作用機序に解明には、まだ不十分と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた結果を踏まえ、平成27年度はBEZが本当にエネルギー代謝を改善させているのか、ATP産生能やIVPアッセイ以外の方法を用いて検討する。具体的には安定同位体を用いたwhole β-oxidation capacityの計測やアシルCoAの分析、ブトウ糖消費率を算出などを予定している。 それに加えて、当初の予定通り、BEZのβ酸化系酵素以外への作用や細胞毒性を検討する。
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Causes of Carryover |
当初は研究成果発表を国際学会で予定していたが、実際には国際学会に行くことはなかった。また、測定機器の故障のため、代替機を購入する必要があり、年度途中で予算が不足する可能性があったため、30万円分の前倒し請求を行ったが、それまでに購入していた消耗品などで実験が出来たため、結果として予算が余ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、初年度に予定していた統計ソフト(SPSS)を未だ購入しておらず、従来通りの予算の使い方に加えて、統計ソフトを購入したいと考えている。
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