2014 Fiscal Year Research-status Report
諸外国の音楽科カリキュラム及び実践にみる≪声の発達観≫についての調査研究
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26870384
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早川 倫子 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60390241)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 声の発達観 / 音楽科カリキュラム / 歌唱 / 諸外国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,諸外国における音楽科カリキュラムや音楽活動および音楽科授業の実践から,≪声の発達観》について比較検討することを目的としている。
平成26年度は,調査対象国の選定とその国のカリキュラム等についての情報収集を行うとともに,調査受入許可の得られたスウェーデンおよびフィンランドの教育機関の視察を行った。本研究では特に、幼児期から児童期にかけての声の発達に焦点を当てているため、視察対象の教育機関は、保育園から小学校までと幅広く選定した。また、公式な音楽科の授業かなされていないフィンランドのヘルシンキ市では、公立の音楽教育機関についても視察も行った。さらに、各機関の音楽教師にもインタビューすることができた。 今回の視察調査からは、まず子どもの歌声の傾向として,いわゆる「自然な声」であるという実態が把握できた。インタビューを行った音楽教師のほとんどからも、「どのような声で歌わせたいか」という質問については「子どもの自然な声を大切にしている」という回答が得られた。また子どもの歌う声量についても「大きな声は求めていない」という考え方があるということが理解できた。表現の一つとしてダイナミクスは必要だが、「大きな声で・元気な声で歌おう」といった日本の歌唱指導によく見られる指導言は、視察中一度も使われていなかった。また、子どもの声についてだけでなく、音楽活動や授業中の教師の声の使い方にも特徴があった。それは、大きな声を出さず、声を大切に・音を大切にした環境構成がなされているという点である。 今回視察した機関は、その組織も背景も多岐に渡っており、事例研究の一つに過ぎないが、ある程度の傾向は読み取ることができた。今後はさらにフィールドワークを進め、≪声の発達観≫に関する国際比較を試みていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査が年度末となったため、研究成果の発表を行うことができなかった。次年度には、調査内容の報告を口頭発表または論文の形で行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、引き続き諸外国の視察機関の選定を行い、できるだけ多くのフィールドワークを行っていきたいと考えている。 また、研究を遂行する上で、課題と感じているのは、現地視察の受け入れ許可申請についてである。26年度はコーディネーター等に依頼し行ってきたが,突然のキャンセルや変更等もあり,そうした場合の対策等も必要であると考えている。
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Causes of Carryover |
海外現地視察調査の実施が年度末になったため、そのための費用をできるだけ残しながら研究を進めていたが、予定していた金額に差額が生じたため。また、収集した資料については現地の言語であり、翻訳が必要であるが、年度内に翻訳を依頼することができなかったため、翻訳等の謝金分が余った形となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述のとおり、収集した資料等の翻訳を次年度に依頼する必要があるため、それに使用したいと考えている。
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