2015 Fiscal Year Research-status Report
諸外国の音楽科カリキュラム及び実践にみる≪声の発達観≫についての調査研究
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26870384
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早川 倫子 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60390241)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 声の発達観 / 音楽科カリキュラム / 自然な発声 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度に引き続き、調査対象国の選定と該当国の音楽科カリキュラムについての情報収集を行うとともに、調査受入許可の得られたカナダ(ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市)の公立小学校3校の音楽科授業の視察調査およびコミュニティーセンターにおける幼児を対象にした歌唱クラスの視察を行った。 低学年の音楽の授業を中心に参観したが、全体的な傾向としてどの学校のどのクラスも、子どもの歌声(発声)は「自然な発声」にあることを実態として読み取ることができた。一方で、教師の発声は、基本的に頭声発声と呼ばれている発声法が中心で(参観した3校は、2校は女性教師、1校が男性教師)、曲種によって低い音域では表声も使用しながら歌っている実態が読みとれた。子どもたちは、教師の発する声そのものの模倣等によって、声質や発声の仕方を無意識的に身につけているのではないかとも考えられた。 また、A校では、声のピッチを合わせることを重視しており、特に歌を通して音程感覚も育てていることが認められた。授業後のインタビューでは、教師がコダーイメソッドを導入していることもわかった。また、B校では、発声の際に、呼吸を大切にしていることが読みとれた。インタビューでも、教師は息をコントロールすることを身につけさせることが重要であると述べていた。そしてC校は、多文化的な側面から様々な楽曲が選ばれており、歌のレパートリーを増やすことと多文化社会に対応する視点があることが読みとれた。 今後は、カリキュラムの内容と関連させて、これからの実践内容をより詳細に分析していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地調査が3月末となったため、調査内容の発表が行うことができていないため。次年度は、調査内容のまとめの段階に入るので、発表など行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成26年度および平成27年度に視察調査を実施した内容について、分析と整理を行い、論文等の形で報告を行っていきたいと考えている。また、調査内容を踏まえた上で、視察をさせていただいた音楽教師らへのさらなるアンケート調査も実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
海外視察調査を年度末に予定していたため、そのための費用をできるだけ残しながら研究を進めていた。予定よりも少ない金額で現地調査を進めることができたが、その一方で、資料の翻訳やデータ起こし等、年度内に実施できなかったため、残額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述のとおり、資料の翻訳やデータ起こし等を依頼する必要があるため、その費用に使用する予定である。
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