2014 Fiscal Year Research-status Report
雌性先熟魚キジハタの性的可塑性の実態:性転換過程における生殖細胞と体細胞の挙動
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26870391
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 靖尚 岡山大学, 理学部, 助教 (10643786)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 性転換 / ハタ科魚類 / 下垂体 / 卵巣 / 精巣 / キジハタ |
Outline of Annual Research Achievements |
ハタ科魚類は、雌から雄へ性転換する雌性先熟型の生殖様式をもつ魚で、本州中部以南からインド方面まで広く生息する。ハタ科魚類は美味であることから、市場価格(5,000-8,000円/kg)が非常に高く「超高級魚」「幻の魚」とされる。そのため漁業者からハタ科魚類の資源増大が強く望まれている。本研究で対象とするキジハタは西日本各地に多く生息し、ハタ科魚類の中で最も早く種苗生産の技術開発研究が開始された(昭和58年)。現在、北陸/東海/近畿/中四国/九州でキジハタの量産化事業が行われ、種苗の供給が行われている。しかしながら現在、キジハタ種苗生産を行う上で、本魚種が性転換を行う事が原因で親魚の「性」に関する新たな問題 (e.g. 性比の偏り) が浮上している。そこで本研究では、ハタ科魚類の性に関する基礎知見を収集することにより、問題解決を行う。加えて種苗の不妊化に関する研究も同時に行い、ハタ科魚類の種苗生産技術の高度化を目指す。ハタ科魚類の性転換は、脳-脳下垂体-生殖腺(H-P-G axis)による一連の情報伝達系により調整されていることが明らかになっている。そのため今年度はH-P-G axisの中心である脳下垂体の解析を重点的に行った。具体的には、次世代シークエンサー(Mi-seq:イルミナ社)によりキジハタの脳下垂体のRNA-sequenceを実施した。その結果、キジハタの脳下垂体において分泌される全てのホルモンの遺伝子(POMC, FSH, LH,TSH, GH, PRL, SL)を単離する事が出来た。現在、これらの遺伝子の性転換に伴う発現変化をリアルタイムPCRにより解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、キジハタの脳下垂体におけるRNA-sequenceを行った。その結果、本研究の目的であるハタ科魚類の性転換の生理機構の解明に関するツールを全て揃えることが出来た。加えて、様々な性転換段階にあるキジハタサンプルも確保出来ている。今後、脳下垂体ホルモン遺伝子の性転換に伴う発現変化を中心に解析していく
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Strategy for Future Research Activity |
キジハタの脳下垂体で分泌されるホルモン群の遺伝子(POMC, FSH, LH,TSH, GH, PRL, SL)を全て単離する事が出来たので、今後は、性転換に伴うこれらのホルモン群の遺伝子の発現変化を解析する。これらの解析を通じて性転換に重要な働きを持つホルモンを同定する。
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Causes of Carryover |
本年度は、これまで解析に必要なツールの作製を優先してきた。今年度は、作製したツールを用いて実際の性転換に伴う遺伝子の変化を網羅的に解析する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度はキジハタの脳下垂体で分泌されるホルモン群の遺伝子(POMC, FSH, LH,TSH, GH, PRL, SL)を全て単離する事が出来た。今後は、性転換に伴うこれらのホルモン群の遺伝子の発現変化を解析する。これらの解析を通じて性転換に重要な働きを持つホルモンを同定する。
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