2018 Fiscal Year Annual Research Report
A prospective cohort study with healthy life expectancy as an endpoint in small-scale aging communities.
Project/Area Number |
26870407
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長谷 亮佑 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30711262)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 健康寿命 / 地域包括ケアシステム / 前向きコホート / 中山間地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化が進む日本では、健康増進の目標として健康寿命の延伸が掲げられ、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることが目指されている。本研究は、高齢化が先行する中山間地域小規模高齢化集落で、前向きコホート研究により「自宅からの離脱」に何がどれだけ影響を及ぼすかを検討するもので、健康寿命の延伸に資する幅広いエビデンスが明らかになると期待された。 まず、健康寿命とその要因に関して、先行研究で明らかにされたものや、地域の現場で得られた情報などを集め、レビューとしてまとめ、「自宅からの離脱」が前向きコホート研究のエンドポイントとして適切であることを確認した。 実施計画において、岩国市錦地域内の住民300人程度を対象としていたが、実際に286人に対して調査を実施することができた。基礎調査として、食事や受診の状況、それぞれに必要な買物や通院の手段や方法、人との交流の頻度、家族のサポート状況等を把握し、中山間地域に住む高齢者の生活習慣や生活実態として貴重な知見を成果発表した。さらに、地域特性があるとすれば、その検証のために比較対象地域を設けておく必要があると考え、他市の中山間地域でも67人に対し調査を行った。 ただし、当初から想定されたことだが、現時点で、地域離脱というエンドポイントに至った例が少数のため、研究の統計学的な解析はできていない。しかし、1人暮らしになって初めて自炊を始めた高齢男性でも栄養バランスのとれた食事を3食きちんと摂取し、地域での生活を続けている例や、免許返納によって自家用車を失った高齢者が病院受診の際は近所の方に車を出してもらいながら自宅での生活を続けている例などから、個人の生活能力がある程度備わっていること、人とのつながりがあり互助が存在する地域であることが重要であると示唆される。今後も計画策定時に予定した10年間追跡を継続していく。
|