2014 Fiscal Year Research-status Report
曖昧視知覚の安定化と不安定化の相互作用に関わる脳内活動動態の解明
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26870426
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浦川 智和 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (80586644)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 曖昧図形 / 刺激変化検出 / 脳波 / 脳磁図 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の知覚を生じさせうる物理的に同一の画像(曖昧画像)を見ても、複数の知覚が同時に生じることはない。本研究課題においては、曖昧な画像情報から一義的な知覚に至るまでの脳内情報処理について明らかにすることを目的とする。とりわけ、これまで知覚心理研究で報告されてきた「曖昧画像知覚を安定化させる順応効果」(e.g., Long & Toppino, 2004)に着目し、この順応効果を減弱させる脳内視覚情報処理について脳波(EEG)・脳磁図(MEG)を用いて検討する。具体的には、この順応効果の減弱化に「視覚刺激の変化検出処理」(e.g., Urakawa et al., 2010)が関与しているとする仮説の下、刺激変化検出処理が大きく駆動されていくにつれて知覚レベルでの順応効果が弱まっていくのかどうか検討する。
本課題計画の第1年度目にあたる本年度は、まず研究で用いる視覚刺激画像およびその呈示プログラムを作成した。この刺激呈示においては、曖昧画像を呈示するとともに刺激変化をその周辺に生じさせるものとし、それらをそれぞれ独立に設定できるものとした。次に心理実験を行ったところ、刺激変化が曖昧画像と同時に生じた条件にではそうでない条件に比べて、曖昧画像に対する順応効果の減弱化が認められた。心理実験で得られた結果は国際学会において発表し、その内容について現在専門誌に投稿している。また、来年度以降に計画しているEEGおよびMEG実験については現在準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳波を用いた予備実験については当初予定した程に進展しなかったが、脳活動計測前の刺激作成ならびに心理実験は完了している。交付申請書に記載した本年度の研究計画については、概ね完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題2年目は、研究代表者の転出に伴って,これまで用いた刺激装置が変わる予定である。しかし転出先においても本年度作成した刺激画像および刺激呈示プログラムはそのまま使用できることから問題ない。また脳活動計測計測機器に関しても、次年度以降も使用できる環境にある。交付申請書に記載の課題計画に沿って、今後も研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
当初計画していた程に脳波を用いた予備実験が進展しなかったため、実験補助者と被験者への謝金および脳波実験を行うにあたって必要な消耗品の購入が行われなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は本年度の研究成果を踏まえて脳波実験が進展していく見込みであることから、その際に必要になってくる消耗品・物品の購入に当てる。
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