2015 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌アンモニア同化制御の定量的ダイナミックモデル構築とシステム的理解
Project/Area Number |
26870432
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 和勲 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 特任助教 (50631230)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | システムバイオロジー / シミュレーション / パラメータ推定 / 大腸菌 / 窒素代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大腸菌アンモニア同化の定量的ダイナミックモデルの構築とその制御構造の理解である。平成26年度には、アンモニアの輸送と拡散を考慮したモデルが完成していた。平成27年度は、それを使って主に解析と予測を行った。その成果の一部について、2015年11月にシンガポールで行われたシステムバイオロジー国際会議で口頭発表を行った。
モデルを使ってアンモニアトランスポーターのアクティブトランスポーター説とパッシブトランスポーター説を検証した。パッシブトランスポーターを仮定すると実験データを再現できないことから、アクティブトランスポーター説がより有力であると結論づけた。さらに、アクティブトランスポーターに関して、輸送機構の異なるいくつかの速度式を構築し、どの輸送機構がもっともらしいか調べた。アンモニア無益回路によるエネルギーの無駄を最小化するために、アンモニアトランスポーターとグルタミン合成酵素の活性制御が合理的に行われていることを明らかにした。また、環境のpH変化に対する応答を予測した。
タンパクGlnKはアンモニアトランスポーターに結合しアンモニア輸送活性を制御することが知られている。GlnKはアンモニア無益回路の最小化に寄与しているという説もあるが、未だにその生物学的役割がはっきりとしていない。今後は、この点に関して解析を進める予定である。具体的には、GlnK欠損株や、GlnKがウリジリル化されない場合などをシミュレーションする。今後は、パラメータ同定可能性などを調べることで構築したモデルの妥当性の検証も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、タンパク質-遺伝子レベルのダイナミックモデルを構築する予定であった。しかし、遺伝子発現の実験データをモデルの入力とすることで、タンパク質-遺伝子レベルのモデルを構築せずとも十分に良いモデルが構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、タンパクGlnKの生物学的役割について調べる。また、パラメータ同定可能性を調べることでモデルの妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
本件とは別に予定外の予算が得られたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究を加速させるため海外共同研究者の研究室に滞在することを考えている。
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Research Products
(8 results)