2014 Fiscal Year Research-status Report
PC上での学習履歴の網羅的な記録によるPFLとインフォーマル学習に関する研究
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26870434
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 秀樹 九州工業大学, 学習教育センター, 助教 (90517088)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インフォーマル学習 / プログラミング学習 / PFL / 操作履歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,パーソナルコンピュータ上での知的活動の網羅的な履歴から,インフォーマル学習の過程を同定し,学校での授業以外の場面での人の学びの実態を明らかにすることである.本年度は (1) 授業以外の場面での学習過程の参与観察と調査,(2) プログラミングをはじめとするコンピュータ上での知的活動の網羅的な履歴の記録システムの開発を行った.(1) 授業以外の場面での学習過程の参与観察と調査では,大学のプログラミングの必修授業の受講者が授業時間以外にどの程度学習環境を利用するのか,授業を実施している教室を授業時間以外にも開放し,授業中と同じ環境が利用できるようにした上で事例を収集した.(2) プログラミングをはじめとするコンピュータ上での知的活動の網羅的な履歴の記録システムの開発では,ユーザがコンピュータを利用する際の操作と視覚的な記録をOS内部の情報と連携させて収集するシステムを試作した.キー操作やポインティングデバイスの操作,画面の画像データ,実行中のアプリケーションのリストなどの情報を統合的に記録し,それらを分析可能とするシステムである.このシステムを用いて,プログラミングの学習に関する学習者の学習過程を授業中も授業時間以外も一貫して記録・蓄積することが可能になった.試作したシステムを実際の授業に導入し,記録を収集して学習過程の概要を分析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は,コンピュータ上の知的活動の履歴から,学校での授業だけにとどまらない人の学びの実態を明らかにしようとしている.そのために活動履歴を蓄積するシステムの試作と検討の実施を計画しており,本年度の研究を通じて,現実の場面での利用に耐える完成度のシステムを構築することができた.とくに100人規模の必修授業にシステムを持ち込んだ場合でも,授業を妨げることなく学生の活動を収集可能であることが確かめられた.このため,実験協力者の数を大きく増やしても,インフォーマルな学習過程の分析に活用できることが期待できる.分析システムの試作についても,活動の概要について,学生がコンピュータをどのように利用しているのかインタラクティブに分析できることが確かめられた.授業外のラーニングコモンズの利用事例の分析も進めており,有用な事例を収集・分析して,授業と授業外での学習者の活動を部分的に明らかにしつつある.授業と直接関係しない活動であっても学習に関する態度の変化を示す事例もあり,多様な学びが発生していることが示唆されている.こうした知見をもとに記録・分析システムのさらなる改良を検討しており,目標にむけておおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は,ほぼ当初計画通り (1) 記録システムの継続的改良,(2) 分析用アプリケーションの改修,を実施し,授業外の学習者の活動をこれまでにない粒度で明らかにしたい.そのために,昨年度に試作した分析システムの知見やラーニングコモンズでの調査によって得られた知見を活用する.具体的には,活動履歴をインタラクティブにタグやアノテーションを付与し整理する機能,また画面イメージのOCRと連携した全文検索機能などの機能を実現する.また同時に,昨年度までに実現した記録システムについても,高速化や軽量化などを実施しつつ,さらに多くの情報を収集するよう改良し完成度を向上させる.こうした機能を実現することで,学習者ひとりひとりの学習の過程を多面的に分析可能にし,学習過程の全体像を明らかにすることを目指す.特にプログラミングの授業を対象として,授業とそれ以外の場面で活動の内容と学習者が実際に学習した内容との相関について分析することを検討している.そのために引き続き学内の授業担当教員と密接に連携をとり,授業・授業外ともに,複数の学習者の十分な履歴の蓄積を試みる.
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Causes of Carryover |
当初計画よりも若干安価に物品を調達できたために生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として計上する.
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Research Products
(1 results)